【現地取材記者対談②】ザックジャパンはなぜ敗れてしまったのか 逆境を打破する雰囲気が見られなかったチーム

北  ギリシャ戦では勝たなければいけない状況になってしまった。第1戦を落としてから第2戦までのチームの雰囲気というのは?

佐藤 リカバリーはできていなかった。敗戦のショックを引きずっていた。よく「気持ちの切り替えをしましょう」と言うけど、そんなに簡単にいくものじゃない。だからギリシャ戦ではザックは香川をスタメンから外して、森重真人と今野泰幸を入れ替えたりした。

北  ギリシャ戦では明らかに本田がブレーキになっていた。だけど、今回のチームは本田を外すという選択肢はなかったですよね。本田自身はミランでのパフォーマンスもそうだし、調子は決して良くなかった。今大会でも本田は攻撃の軸だったし、確かにパスをつないでいるんだけど、ゴール前に入ってくる回数が少な過ぎた。フィニッシャーとしての本田の良さが出ていなかった。

佐藤 そうだったね。なかなかボールが入ってこないから、自分が下がってきて、空けたスペースに誰かが飛び込んでくるというのを狙っていたところもあったと思う。でも、それを他の選手が感じ取れていなかった。今回思ったのは、前線の4人でコンビネーションで崩すといっていたけど、そういう場面が見られなかった。クロスにしても誰が詰めて、誰がこぼれ球を拾うのかといった約束事もなくて、何となく上げて、何となく合わせるという感じだった。

北  選手間でコミュニケーションもとっているし、長い時間同じピッチでやっているわけじゃないですか。だけど、ギリシャ戦ではサイドからクロスを上げてしまった。長友が高いボールを上げたときに、中で待っているのが香川や遠藤保仁といったヘディングが苦手な選手。しかも全員が同じタイミングで入ってくるから、セカンドボールを狙うこともできない。チームがやりたいといっていることと、ピッチ上で表現されているサッカーの乖離が大きかった。

佐藤 内田篤人が右サイドからグラウンダーのクロスを入れて、大久保嘉人がファーで外した場面があったでしょ? あのとき、内田はクロスを上げるまでに中をずっと見ていた。それは中の選手の動き方が決まっていなかったということ。内田が中を見ないでもクロスを入れられるぐらい、お互いの動き方がわかっていれば、ちょっとだけどクロスのタイミングが速くなって、決まっていたかもしれない。

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