【日本代表対談|前編】ビーチサッカー茂怜羅オズ×フットサル滝田学 ~結果を追い求めて~

それぞれの日本代表チームをけん引する2人が語り合った【写真:Noriko NAGANO】
それぞれの日本代表チームをけん引する2人が語り合った【写真:Noriko NAGANO】

オズ「ボールを蹴るためにお金をかけるのは、ブラジルではあり得ない」

 2019年3月17日、ビーチサッカー日本代表はAFCビーチサッカー選手権タイ2019(ワールドカップ予選)でアジアの頂点に立った。キャプテンとしてチームを引っ張った茂怜羅オズは、サッカー元日本代表MFラモス瑠偉監督との約束通り、大会MVPと得点王に輝いた。一方、フットサル日本代表史上初のアジア2連覇達成メンバーである滝田学もまた、日本代表キャプテンとしてチームの先頭に立ち、中心選手として戦った1人だ。

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 日本代表を背負う2人は、今年33歳であることをはじめ、共通点が多い。どのように日本代表に選ばれ、どんな思いでアジアチャンピオンになったのか。それぞれの日本代表チームをけん引する2人が語り合った。 [ftp_del] (#後編)[/ftp_del]

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オズ サッカーを始めたのは6歳。

滝田 おー、一緒くらいだ。僕5歳から。ビーチからじゃないでしょ?

オズ ビーチから。リオにある実家が海まで歩いて3分で、逆にサッカー場が近くになかったから、みんなビーチサッカーをやってた。

滝田 ブラジルではビーチからスタートするのは普通なの?

オズ そうね。僕はビーチサッカーから始めて、サッカーには興味がなかった。14歳の時にスカウトされて、2年間ヴァスコ(ヴァスコ・ダ・ガマ)でサッカーをやった。その時は、朝にサッカーをやって、夜にビーチサッカーをやってた。初めてサッカーをやった時は、そのままボールを浮かしたほど、もうビーチサッカーのスタイルになってた。

滝田 ビーチからスタートしてサッカー選手になった人もいるの?

オズ 結構いる。ロマーリオやエジムンドもビーチサッカーから。だいたいリオの人はビーチサッカーからで、サンパウロの人はフットサルから。

滝田 町によって違うんだ、面白いね。日本のサッカー選手でビーチサッカーから始めた人はいないよね?

オズ 今のところ、いないね。サッカーを始めたきっかけは何?

滝田 5歳の時は、野球のアニメを見て、野球をやってたけど、『キャプテン翼』を見るようになって、幼稚園のサッカーチームに入った。運動神経はいいほうだったから活躍できて、どんどんはまって、小学1年生の時にJリーグができて、のめり込んでいった。

オズ その時はフットサルじゃなくて、サッカーをやろうと思ってた?

滝田 当時、日本ではフットサルっていうワードすら聞かなかった。10歳の時、たまたま地元の近くにフットサル場が初めてできた。それを母親が見つけて、「他の人と同じようにやってても今後苦労するから、行ってみたら」って勧めてくれた。その時、スクールに行き始めたのがフットサルとの出会いだった。

オズ じゃあ、サッカーのクラブには入ってなかった?

滝田 いや、小学校のサッカーチームに入っていて、フットサルスクールにも行き始めた。そしたら、「狭いコートでやるほうが楽しいな」と思って、フットサルにのめり込んでいった。オズは、いつ日本に来たの?

オズ 21歳の時だから、日本に来て12年になる。ブラジルでは有名なネネン(元ビーチサッカーブラジル代表)が、沖縄のビーチサッカーチームの監督兼選手で来て、ネネンに招待されて来た。その時は、ブラジル人選手が5~6人いて、サッカーのアカデミーもあったから、日系とか30人くらいブラジル人がいたから、最初の2年間はぜんぜん日本語を覚えなかった。

滝田  僕がフットサルを始めた頃は、「ボールを蹴るのが禁止」の体育館がほとんどだったから、練習場所がなかった。それは中学生になっても同じで、「窓に当てないようにマットを置くから、ボールを蹴らせてください」っていうお願いからスタートした。

オズ じゃあ、ゴールもなかった?

滝田 ゴールなんてなかった。中学生ではフットサルの人工芝を借りるお金はなかったし、常に体育館を探してたね。

オズ ボールを蹴るためにお金をかけるのは、ブラジルではあり得ないね。地元・リオのコパカバーナビーチは4キロあるんだけど、ゴールがいっぱい置いてあるから使っていいし、ビーチバレーのネットもあるから、ビーチバレーもできる。最近は、鍛えるためのウエイトとかもいろいろ置いてある。

滝田 置いてあるの!?

オズ 日本のビーチはいろんなルールがあって、ゴールを置きっぱなしにするのはダメだけど、コパカバーナビーチには置いてある。朝5時から走ったりしてる人もいるし、お昼になると、子どもとかがどんどん来る。スポーツをするために、お金を使ったことはないね。

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