バイエルン最強コンビが刻んだ美しき時代 7連覇の歓喜と涙に彩られた「夢のような終幕」

途中出場からチームの5点目をマークしたMFロッベン【写真:Getty Images】
途中出場からチームの5点目をマークしたMFロッベン【写真:Getty Images】

ファンの大歓声を受けて登場、映画のようなエンディングを自ら実現

 最後の共演だ。左にリベリー、右にロッベン。バイエルンと言えばこの2人だった。両翼から小気味いいドリブルで相手DFを押し込んでいく。リベリーが左サイドでダビド・アラバといつも通りのコンビネーションプレーを披露したかと思うと、ロッベンはファーストタッチからのパスが少し乱れただけで、飛び上がって悔しがった。2人のプレーの一つひとつに、ファンからの歓声が上がっていく。

 後半27分、左サイドでボールを持ったリベリーが軽やかなタッチで切れ込む。相手DFダビド・アブラハムとDFダニー・ダ・コスタの間にボールを通すと鋭く突破。そして必死のタックルに来る元日本代表MF長谷部誠とGKケビン・トラップをあざ笑うかのように、鮮やかなループシュートでゴールネットをゆらした。上半身裸になり駆け出すリベリーを全選手が祝福する。掲げる背番号7のユニフォーム。イエローカードを持つ審判にもハグをする。

 劇場はこれで終わらない。リベリーが決めたのなら、残すはロッベンだ。同33分、FWロベルト・レバンドフスキの浮き球パスに抜け出したDFダビド・アラバがダイレクトで中央に折り返すと、そこにロッベンがいた。左足で流し込むと、またもスタジアムが沸き立ち、喜びの輪ができた。夢のような終幕を誰もが願った。でも本当にそれを実現させてしまうとは……。ロッベンは同38分に、ペナルティーエリア右角でボールを持つと、独特のタッチで中に切れ込んでの左足シュートを披露。GKにセーブされたが、何度もファンに歓喜をもたらした、“分かっていても止められない”いつものカットインだった。

 さまざまなハイライトが詰まった試合は5-1でバイエルンが快勝し、7連覇となるリーグ制覇を見事に決めた。優勝セレモニーではキャプテンのGKマヌエル・ノイアーがロッベン、リベリー、ラフィーニャの3人と一緒にマイスターシャーレを掲げ、恒例のビールかけに移るとロッベンが早速監督のコバチにクリーンヒットを成功させていた。笑顔が弾ける。

 多くの報道陣が、試合後のミックスゾーンで2人の登場をまだかと待ち望んでいた。ロッカールームでも盛り上がりを見せたことだろう。試合終了から約2時間後、リベリーはマイスターシャーレを手にミックスゾーンへと現れた。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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