フランス“日本人対決”はマルセイユ酒井に軍配 後輩・昌子にミスの重要性を説いた真意

先輩の酒井は温かい眼差しで昌子を見守っていた【写真:小川由紀子】
先輩の酒井は温かい眼差しで昌子を見守っていた【写真:小川由紀子】

昌子は大量5失点にマルセイユとの差を痛感「みんな行っちゃって戻ってこない」

 酒井が決めたシーンは、酒井がサイドでボールをフランス代表FWフロリアン・トバンに預けた後、ゴール前にするっと入り込み、そこへトバンが逆サイドに送ったボールがMFルイス・オカンポスからセンターに折り返されて、酒井が左足でジャストミートした。

 ふかしがちなボールを上手く逆足で滑り込ませた絶妙なゴールを、「右よりも力が抜けてたんで。下(ピッチ)も濡れていましたし、上手く入ってくれました」と控えめに描写したところが酒井らしいが、この日トゥールーズは、最後のホーム戦とあってか、いつになく攻撃への意識が強く、サイドバックも思い切りよく上がっていた。

 左から突っ込んだエンジェがトバンにアシストを出した場面、昌子は「僕は、右サイドバックにずっと、『後ろいるぞ』と言ってたんですけど、ふらっと(前に)行こうとしていて、そのタイミングで(エンジェに)クリアボールが行って……言葉の問題とかじゃなくて、僕はちゃんとフランス語で言ってるし。でも、あそこはしっかり僕がついていれば……」と振り返る。

 頭の中で失点シーンを再生するかのように昌子は続けた。

「相手の4点目は、パス2本で決められてますからね。バーンとクリアされて、ちょっとドリブルされてからパス2本目で決められて。2点目もキーパーからつながれて、ドリブルされて宏樹くんが上がったら通されて、パス1本、2本で……非常に情けなかったですね」

 しかし、そうやってもがく昌子を先輩の酒井は温かい眼差しで見守っていた。

「源にはすごくいいと思います。あれだけ攻撃されて、相当成長できると思います。僕だってもう3シーズン目ですけど、今日(マッチアップしたコートジボワール代表FWマックス・)グラデルにいっぱい抜かれましたし。彼、すごくドリブルが上手いので。でも、そうやって数をこなさないと、間合いやタイミングは慣れないので、ディフェンダーにとっては攻められた時こそ大事だと思います。抜かれることも大事。結果を出しながら、ミスをしていく。僕も3年間ずっとそれをやっています」

 昌子と酒井の日本人対決は、先輩・酒井の大活躍もあってマルセイユの快勝に終わった。残る24日の最終節では、6位のマルセイユは5位モンペリエと、勝てば順位が逆転する直接対決に挑む。そして昌子のトゥールーズは、プレーオフ出場が懸かる19位ディジョンと敵地で対戦する。

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