完成形に近い“ペップ・シティ”、4年目の姿は? 名将の新たな挑戦は進化か、苦し紛れか
ペップの“新しさ”は必ずしも強さではなく、むしろ苦し紛れとも…
ただ、3年も続ければ次第にセオリーは身についていく。バイエルン、シティの3年目は練度が上がっていた。
とはいえ、やはり形から入ったチームなので、形から抜け出し切れていないところもある。バイエルンでは1年目、2年目、3年目で少しずつ形を変えていた。形は対応されれば初期の威力は半減するので、新しい形を出してきて優位性を得ていたわけだ。
シティでも、ペップは常に新しい形を模索しているように見える。だが、この場合の新しさは形の変化、目先の変化にすぎない。ペップの場合、新しさは必ずしも強さではなく、むしろ苦し紛れとも言えるのではないか。
シティで4年目を迎えるとしたら、新たな形を探るのか、それとも形に頼らずとも強いチームを目指すのか。現在のメンバーでは、ほぼできることはやりきっただろうから、来季がどうなるかは興味深い。
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(西部謙司 / Kenji Nishibe)
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。