長谷部誠、“輝かしい1年”の最終決戦へ フランクフルトはCLを目指し「勇敢に攻める」

フランクフルトのヒュッター監督【写真:Getty Images】
フランクフルトのヒュッター監督【写真:Getty Images】

首位バイエルンと運命の最終決戦 ヒュッター監督「トップパフォーマンスで臨む」

「僕らがもう、どちらかに絞るというのははっきりいって、今こう振り返ってもできなかったと思いますね。やっぱり両方チャンスがあったわけだし、そのなかでヨーロッパリーグは結構、リーグとは違って自分たちの良い戦いができていた。そこに関してはそんなに僕自身も、チームも心配してなかったですね」

 いけるところまで、自分たちはチャレンジし続けてみせる。そう決意して、覚悟を持って戦ってきた日々を悔やむなんてはずがない。それに長谷部は「アイントラハトというクラブがそういう経験とか、あとはチームとしてのクオリティーとか、まだまだ両方戦うには足らなかったのかなと思います」と振り返っているが、ほとんどローテーションもできないだけの戦力で、主力に負傷者を抱えながらも、ELでベスト4、そしてリーグでもまだ来季のCL出場権を狙える位置につけられるチームなど、そうはない。だいたいはどちらかでしか好成績を挙げられないものなのだから。フランクフルトが今季成し遂げていることは、すでにセンセーショナルなことなのだ。

 だからこそ、最後まで自分たちの姿勢を見失わずに立ち向かうのだ。マインツ戦後の記者会見でアディ・ヒュッター監督は、「バイエルン戦で自分たちはアンダードックの立場だ。勇敢に攻める。チェルシー相手にも見せたサッカーだ。今の状況は自分たちの責任でもある。ここ最近のリーグ戦で勝ち点を取り逃してきた。それでもまだチャンスが残っているんだ。トップパフォーマンスで最後の試合に臨む」と宣言した。

 久しぶりにしっかりと、休養と準備の時間を取ることができる。今季のフランクフルトは大事な一戦で、常に素晴らしいサッカーを披露してきた。相手がバイエルンだろうと委縮したりはしない。泣いても笑っても、これがラストマッチだ。

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(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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