【現地取材記者対談①】ザックジャパンはなぜ敗れてしまったのか 大会前に問題の本質に気付けなかった日本代表

日本は相手にリスペクトされていた

北  初戦ではコートジボワールの戦術にハマってしまった面はあったと思います。ボランチがDFラインまで下がって、数的優位を作ってパスを回していた。

佐藤 相手はうまかった。両サイドバックに高い位置をとらせて、日本のラインをどんどん低くさせていた。サイドチェンジで長い距離を走らせて、疲れさせて。試合運びの点でコートジボワールのほうが“大人”だった。

北  あそこは監督が手を打つべきだったのか、それとも選手がピッチの中で感じてアクションを起こすべきだったのか。

佐藤 難しいところだよね。本来はピッチの中にいる選手が臨機応変にやらなければいけないんだけど、あの状況で選手だけでできるかというと……。

北  コートジボワールのスカウティングはもちろんしていたはず。だけど、サイドバックが高い位置をとってくるのは日本の選手にとっては想定外で、だからあそこまで混乱してしまったんだと思います。

佐藤  コートジボワールのほうが日本をよく研究していたなと。日本のストロングポイントでありウィークポイントである左サイドをどんどん突いてきたでしょ。

北  攻撃時に香川真司が中に入ってくることで、左サイドでは数的不利やマークのズレが起こりやすい。そこを集中的に攻められることで香川が守備に回らざるを得なくなり、長友の攻撃参加でもできなくなってしまった。

佐藤 そうだったね。

北  これまでのW杯に比べると日本は明らかに”リスペクト”されていた。ビッグクラブでプレーする選手がいる。本田、香川、長友に関するマークは厳しかった。過去の日本はノーマークの存在だったがゆえに勝てていたところもあったけど、今回はそうじゃなかった。

佐藤 名前がある選手が揃ったばかりに研究されてしまって、にっちもさっちもいかなくなってしまった。むしろJリーグの選手で臨んだほうが、相手はわからなくて困ったかもしれないね。(続く)

北健一郎●文 text by Kenichiro Kita

 

※ワールドカップ期間中、記事内で扱うシーンの一部はFIFAワールドカップ公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』のマルチアングル動画、選手毎のスタッツデータで確認できます。
詳しくは、「LEGENDS STADIUM 2014 – FIFAワールドカップ公式動画」まで

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