なでしこW杯メンバー23人、期待される新旧融合のサイクルと本大会へ修正すべき課題
それぞれが課題克服・成長を示してつかんだ“フランス行き最終便”のチケット
なでしこジャパン(日本女子代表)を率いる高倉麻子監督は、5月10日にフランス女子ワールドカップ(W杯)に臨むメンバー23名を発表した。
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高倉監督は、世界大会から逆算してチームを作るのではなく、「チームは生き物で、その時々で思いもよらない変化をしていく」という考え方の持ち主だ。「高いテクニックがあってクレバー。ゲームで走り切れるだけの走力を持ち、チームを助け、代表への気持ちが強い選手」という就任当初からの選考基準に照らし合わせながら、その都度選手を入れ替えてチームを作り込んできた。A代表に招集された選手だけで、その数は63名に及んだ。
結果として、2015年のカナダ大会に続いて選ばれたのは6名だけ。2016年6月、就任後初のアメリカ遠征参加20名の中からでも9名だけだ。特に、なでしこリーグ得点王・田中美南(日テレ・ベレーザ)の名前さえないアタッカー陣は、激しい競争が行われた。高倉監督は「さまざまな試合、練習の中で壁にぶつかり、上手く行かないことが起きたが、次に会った時にしっかりと修正してきた選手が残ったと思います」と語る。
チームの立ち上げから最後まで生き残ったFW菅澤優衣香(浦和レッズレディース)は、昨夏のアジア大会から、前線で起点となるだけでなく、自ら仕掛けるシーンが増えた。周囲に取らせるだけでなく、自分でも取る。そう意識を変化させながら、準決勝、決勝という大舞台で虎の子のゴールを奪い、目に見える結果も残した。
21歳の小林里歌子(ベレーザ)も、A代表キャップのない状態で参加した合宿で、紅白戦でゴールを連発するなどアピール。出場機会を手に入れて臨んだ今年3月のアメリカ遠征でも得点を挙げた。代表活動が終わってベレーザに戻ってからも、「高倉監督にも求められている」要素としてミドルレンジでのシュートを意識し続けた。そして、なでしこリーグの浦和L戦で起死回生のゴールをもたらしたのは、彼女の強烈なミドルシュートだった。
“フランス行き最終便”のチケットは誰かに用意されているものではなく、23名の選手それぞれがつかみ取ったものだった。