なぜ異例選出? 今季未出場のMF阪口夢穂、なでしこW杯メンバー入りの大きな意味
昨年に大怪我、今季いまだ出場がない状況の阪口について高倉監督が言及
なでしこジャパン(日本女子代表)の高倉麻子監督は、6月開幕するフランス女子ワールドカップ(W杯)に臨む23人の大会メンバーを10日に発表した。特筆すべきは、今季所属クラブで出場していない31歳MF阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)がメンバー入りしたことだろう。
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阪口の実力を考えれば、誰もメンバー入りに異論を挟まないはずだ。しかし阪口は昨年4月のリーグ戦で右膝前十字靭帯と半月板の損傷という大怪我を負った。年末の皇后杯決勝で、最後の数分間だけピッチに立ったのが最後だ。そういった背景を踏まえれば、今回のメンバー選出についての異論は理解できるもので、異例の選出という見方もできる。
会見で高倉監督は、阪口の状態についてこのような言葉を残した。
「コンディションは大丈夫だと聞いている。あとは招集してからパフォーマンスを上げることになる。経験豊富な選手であり、チームに落ち着きをもたらすという意味でも大きな期待をしている。阪口は初戦もターゲットにしているが、招集してパフォーマンスの上がり具合を見ないといけない」
一方で、これが女子W杯に臨むメンバー23人であることを考慮すれば、単純にプレーだけの期待で選出したのではないのかもしれない。最大7試合のトーナメントで、2試合、3試合とスタメン出場をする選手は、恐らく15人程度だろう。GKのうち1人は出場機会がない可能性が高く、フィールドプレーヤーでも途中出場のみの選手や出場がない選手も出てくるだろう。それは、男子代表のW杯でも同じだ。
そうなると、阪口の役割はピッチ内に留まらないのかもしれない。例えば男子代表では、2002年の日韓W杯でフィリップ・トルシエ監督がDF秋田豊やFW中山雅史といったベテランをメンバーに含めた。10年の南アフリカW杯では、岡田武史監督がGK川口能活をメンバーに入れている。彼らに近い存在としての阪口を高倉監督が欲した可能性は十分にある。