なでしこ女王ベレーザの“新ヒロイン候補” 19歳で覚悟した「引退」と絶望からの復活劇
折れかけた小林の心を支えた同僚・村松の言葉「自分が諦めたら終わり。絶対治るから」
そんな小林を暗闇から救ったのは、ベレーザのチームメートだった。年齢も近いDF土光真代、MF三浦成美に話を聞いてもらい、元なでしこジャパンDF村松智子とは一緒にリハビリを行うこともあった。特に、小林より3歳年上の村松は2012年に右前十字靱帯を損傷し、完治目前にして再断裂。半月板損傷も重なり、リハビリ生活は2年以上にも及び、大怪我を乗り越えた2017年にも左膝前十字靭帯損傷で全治8カ月と診断される苦難のキャリアを歩んでいる。同じ“経験者”からの言葉は、折れかけていた小林の心を支えてくれた。
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「自分が諦めたら終わりだよ」
「絶対治るから」
村松からのアドバイスやLINEは、鮮明に覚えているという。
「村松選手は同じ怪我で、私よりも大変な思いをしている。自分が経験しているからこそアドバイスをくれたり、諦めそうになった時に声をかけてくれました。支えてくれたすべての人に感謝していますが、村松選手の言葉は他の誰よりもグッときたというか、そこで一回気持ちをつなげることができたんです。ベレーザではリハビリから入ったので、チームに馴染み切れていない部分は少なからずあったと思います。一緒にサッカーをするなかで関係が構築されていきますから。その意味で、本当に助かりました」
そして長いリハビリを経て迎えた2018年4月1日、リーグカップ1部第1節のジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦で後半29分からピッチに立ち、実に2年6カ月ぶりに公式戦復帰を果たした。ベレーザの一員としてプレーできた喜びはもちろん、周囲の笑顔が何より思わせてくれた。途中でサッカーをやめなくて良かった、と――。
「自分以上にチームメートが喜んでくれました。一緒にリハビリをしていた選手に比べれば、自分の苦労は全然。だから、みんなが迎えてくれたのは本当に嬉しかったですね。こうやってベレーザでプレーできていることがすごく楽しいです」