なでしこ女王ベレーザの“新ヒロイン候補” 19歳で覚悟した「引退」と絶望からの復活劇
U-17W杯優勝を経験した小林里歌子 大怪我でU-20W杯出場を逃し「気持ちがプチンと切れて…」
前人未到のなでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)1部5連覇を目指す日テレ・ベレーザで、覚醒の時を迎えようとしている選手がいる。加入4年目のFW小林里歌子だ。高校時代から将来を嘱望された逸材は、怪我と戦いながら山あり谷ありのキャリアを送ってきた。10代にして一度は引退の2文字が頭をよぎったなか、試練を乗り越えてなでしこジャパンまで上り詰めた彼女の原動力とは――。
【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから
高校女子サッカー界の名門・常盤木学園高出身の小林は、2013年9月のU-16女子アジア選手権で得点王に輝きチームを優勝に導くと、翌年のU-17女子ワールドカップ(W杯)では高倉麻子監督(現なでしこジャパン監督)率いるチームの主力として、日本の初優勝に大きく貢献した。
15年のU-19女子アジア選手権でも4ゴールを挙げて優勝。高校でも京川舞(現INAC神戸レオネッサ)の“後継者”と期待され、なでしこリーグのチャレンジリーグ制覇などチームを牽引してきたが、秋の国体で前十字靱帯断裂。全治6カ月でベレーザに加入した2016年は大半をリハビリに費やし、以降も右膝半月板損傷など度重なる大怪我に泣かされた。
特に、2016年のU-20W杯メンバーからの落選と、リハビリでの原因不明の痛みは小林の心に影を落とした。19歳にして引退の2文字も頭をよぎったという。
「U-20ワールドカップを目指していたなかで間に合わず、その後に痛みの原因が分からなくて、もうこのまま治らないかもしれないと考える時期がありました。気持ちがプチンと切れて、サッカーをやめるというか、もう続けるのは無理なんだなと思いました」
膝の状態が良くなく、「一番心配してくれていた」家族に対しても、悪い報告をするのが嫌で、どこか不機嫌になってしまう。両親には怪我のことはあまり真剣に話さず、仮に何かを訊かれても「軽く流していた」という。前十字靭帯断裂や半月板損傷のリハビリは過酷なものだが、加えて“孤独な戦い”も小林に襲いかかっていた。
「学校に行って、リハビリに行って……。(ベレーザの)みんなの練習も終わっているので、人とあまり話さずに1日が終わっていくことも珍しくなかったです。当時は、ずっともやもやしていました」