香川真司は「今も愛されている」 失意のダービーに見た“ドルトムント英雄”の足跡
サポーターが語った「香川はドルトムントにとってヒーローの1人」との声
「シンジ・カガワはドルトムントにとってヒーローの1人だよ! ダービーマッチでもゴールを決めてくれたし、優勝にも貢献してくれた選手だ。素晴らしかったよ。ただ、ここ最近はチームのプレーと上手く機能しなくなってしまった。監督が起用しなかったというのもある。でも、(14年に)マンチェスター・ユナイテッドから戻ってきてからは、かつてのような鋭さが見られなくなってしまったとも思うんだ。残念だけどね。それでも彼は今でも、ここドルトムントで本当に愛されているんだ!」
スタジアムからの帰り道、3人は失意の中で「全盛期の香川がいれば……」なんてことを思ったりしたのだろうか。あるいは「今日の負けは納得いかない。やられたまんまでいられるか、来季は倍返しだ!」と、視線はすでに先へと向けられているのだろうか。
終わることのない宿敵との戦いの連鎖。その歴史の中で、香川真司は確かな足跡を残していた。中央駅に向かう僕の背中に、何人かのドルトムントファンが「シンジ!」と声をかけてくる。
ダービーのヒーローは今でも、ドルトムントファンとともに歩んでいるのだ。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。