蘇った赤い悪魔 浦和を重圧から解放した指揮官の言葉
大一番への課題
もちろん、4-1までリードを広げた後に4-3とされた試合展開に課題は残る。ペトロヴィッチ監督は「2失点目から選手が心理的に怖がり、ボールをつながなくなって長いボールを蹴ってしまった。例えばボクシングの試合で相手にパンチが入り、それが効いたとなれば、その選手は間違いなく追い打ちをかけてダウンさせにいくだろう。4-1となり、相手が半分死んでいるところで、とことんまで打ち負かす姿勢が必要なんだ」と、語る。そして、昨年のブラジルワールドカップ準優勝で開催国ブラジルを7-1と徹底的に倒した試合を思い起こすように、「ドイツ人のようなメンタリティを持ってほしい」と力説した。
阿部も「後ろからボールを持ち運んで、相手を下げさせるようなプレーが必要だった。もっと賢くプレーすることも必要だ」と、リードした後の戦い方に課題を挙げた。
しかし、このチャンピオンシップ前哨戦となった可能性もある上位対決で、自分たちのストロングポイントを見つけ直したことは浦和にとって大きい。この日、広島が勝利したことでセカンドステージ優勝の可能性は消滅したが、近年の失速を続けたリーグ終盤戦とは一味違うことを感じさせるゲームだった。今季から復活した最後の大一番に向け、赤い悪魔が上昇曲線に乗り始めている。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images