蘇った赤い悪魔 浦和を重圧から解放した指揮官の言葉

指揮官が求めた姿勢

 試合前日の記者会見で、ペトロヴィッチ監督はこのように語っている。
「私が選手たちに話したのは、我々はすでにファーストステージで最低限の目標を成し遂げている。それは、精神的にアドバンテージになるはずだということ。今季のレギュレーションは、年間1位になっても、チャンピオンシップに勝利しなければチャンピオンになれない。もちろん、年間1位になればファイナルから出られるが、そうでなくても1試合か2試合増えるだけではないか。あと3試合、勇気を持って戦うことを伝えた。明日のゲームを生きるか死ぬかの試合と感じる必要はないんだということだ」
 その言葉を、選手たちはピッチで実践した。最終ラインでボールを持った時も、横や後ろに安全なパスコースがあったとしても、斜め前にポジションを取る選手へ積極的にボールをつけた。日本代表DF槙野智章が、ゆっくりとしたボール回しからダイレクトで左サイド裏のスペースに走り込むMF宇賀神友弥をターゲットにした縦パスを入れ、日本代表MF柏木陽介のゴールにつながった前半11分の先制ゴールは典型的な場面だろう。前に、前にと推進力を出したことで、高い位置でコンパクトな陣形を取るゲームを進めた。それはG大阪戦では全くみられなかったものだ。
 キャプテンのMF阿部勇樹は、「僕らのいい時は、チャレンジをしていた。それは、G大阪戦の前半に欠けていたもの。誰も1人で戦っているわけではないし、ミスをしたらみんなで取り返せばいい。それを、今週のトレーニングの中で伝えた。そういった、感じていたことをゲームで出せたと思っている」と語った。ファーストステージを無敗で制した浦和の、攻撃的な姿勢がピッチに戻ってきたことが、この勝利につながったと言えるだろう。

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