ブラジル代表がチリ戦で見せたトーナメント仕様の戦い方とは?

ボールを保持している場合の戦い方

 まず、グループリーグまでの「ボールを保持している場合」のブラジルはスタンダードなサッカーを展開している。重要な役割を担っているのは、1トップを務めるフレッジの後ろの3枚。オスカル、ネイマール、フッキが攻撃のスイッチを入れることにある。相手にとって厄介なのは、オスカルとネイマールがポジションチェンジをするだけで、攻撃のスタイルに変化をつけられることだ。

 また、この国のお家芸とも呼べるサイド攻撃もサイドバックの質が高いため、バリエーションが豊富。相手が外のスペースを警戒すれば中盤に入ってボールを受け、中を固められれば外から突破やクロスと相手の対応次第でいくらでもやり方を変えられる。だから、ブラジルはどんな場合においても、ボールホルダーが相手DFを1人、2人と敵の守備をかいくぐって数的優位を作るので、チーム全体として無駄なリスクを追う必要がない。個人の能力が高いからアタッキングサードにおける戦術的な決めごとがあるように思えない。ボールの出し手と受け手のアイコンタクトでシュートに繋げている印象だ。当然、どの国も中央を固められると、なかなか守備は崩せない。そこで、今大会はセットプレーも強化を図った。

 総合的に、ブラジルはボールを保持している時もリスクマネジメントを行いながらポジションのバランスを保ち、一方でチャンスと見るや、シュートシーンには3列目の選手がタイミングよく上がってくる。サッカースタイルとしては、実にオーソドックスな戦い方だ。だが、これは裏を返せば、まずは「失点0」ベースの安定した戦い方を選択している証でもある。

 

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