大迫勇也、「もどかしい時間」の先へ ブレーメン復帰戦で“信頼”に応えた1アシスト
先を見据える大迫 「2カ月仕事をさぼってた人間だから…」
大迫にとっては、久しぶりの出場だ。思うようなプレーができないのが普通だろう。アジアカップでの負傷が長引き、2カ月間も離脱することとなった。チーム練習に復帰し、メンバー入りも果たしたが、まだコンディションも万全なわけではない。競り合いのシーンで相手を抑え込みきれずにいるシーンも目立った。
それでも上手くスペースに顔を出してパスを引き出したり、ダイレクトパスで攻撃の起点になったりと試合の流れを変える動きを見せていく。スポーツディレクターのフランク・バウマンが「スペース間でパーフェクトに動くことができるトッププレーヤーだ」と絶賛する動きは健在だ。
そして後半34分には、右サイドからゴール前へ正確なクロスを送り同点ゴールを見事にアシストした。高さもスピードも素晴らしいクロスを、2列目から飛び込んだMFダフィ・クラーセンがフリーでヘディングシュートを決めた。チームメートと抱き合って喜ぶ。ベンチ前ではコーフェルトが、大きなガッツポーズを見せていた。
大迫は1-1に終わった自身の復帰戦について、「まあ後半からだったんでね、相手も疲れた状態だったんで。スペースもあったし。ただもっと、2カ月仕事をさぼってた人間だから、もっと見せないといけないですけど、何ができるか」と話していた。視線はあくまでも、先へ向けられている。
大迫がチームを離れていた間、ブレーメンの攻撃陣は好調だった。地元メディアはキャプテンで主軸のFWマックス・クルーゼと、後半戦絶好調のコソボ代表MFミロト・ラシツァをレギュラー当確とし、他にもエッゲシュタイン、FWジョシュア・サージェント、FWマルティン・ハルニク、FWクラウディオ・ピサーロとそれぞれ特徴的な選手が前線には揃っている。大迫も「いいプレーしていますよ」と、そんなチームの好調ぶりを認めている。
だからこそ、ここからが大切だ。急ピッチでコンディションが上がってくるわけではない。離脱していた時期が長いぶん、調子を取り戻すのにも時間は必要なのだろう。
「まだ練習もね、1週間もしてないですから、復帰して。体の状態はこれからなんで。ただ2カ月間プレーできずに、すごくもどかしい時間が続いたんでね。これからです、残り少ないですけど」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。