なでしこJは「技術に優れ、クレバー」 独代表の声で再確認した“武器”とW杯への課題

セカンドボールを拾えず、後半に劣勢を強いられる

 そして後半、セカンドボールのほとんどをドイツに取られていた点にも注目する必要がある。五分五分のボールをマイボールにできるかどうかは、試合の流れをつかむうえで大きな要因となるからだ。

 フォス=テクレンブルク監督が後半のドイツのプレーについて、「(選手が)ボールに対する勢い、前への意欲というのを見せてくれた」と評価していたが、日本はここでどのようにボールを回収できるかが重要だ。予測、ポジショニング、スピードは大事だが、それに加えてマイボールにしてみせるという意欲、勢い、フィジカルコンタクト、そしてそれを一人だけではなく、グループ、チームとして共有し、やり通すことができるかどうかがカギとなる。

 フランスとドイツ。欧州強豪との二つのテストマッチから、なでしこジャパンはさまざまな課題を持ち帰ることができた。課題が出たというのは、プレーを向上させるためのヒントを得たということにもなる。高倉監督と選手は、それをどう生かすのか。W杯本番までに可能な限り落とし込み、最高の準備をして本大会に挑みたい。

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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