レバンドフスキとロイス、“独2強エース”の明暗 「5-0」の大差が生んだ風格と失望
“ブンデス天王山”はバイエルンがドルトムントを5-0撃破、王者が首位浮上
“首位”ドルトムント対“2位”バイエルンという最高の図式に加え、同カード通算100試合目となるメモリアルゲームに、スリリングな試合を期待しないわけにはいかない。特にドルトムントにとっては6連覇中のバイエルンを打倒すべく、「今度こそ!」の思いでミュンヘンに乗り込んだはずだった。だが結果は5-0という、バイエルンのワンサイドゲームになってしまった。
現地時間6日にアリアンツ・アレーナで行われた首位攻防戦、明暗を分けたのが両エースのロベルト・レバンドフスキとマルコ・ロイスだ。
前節フライブルク戦(1-1)で1ゴールを挙げ、自身のブンデスリーガ通算得点数を「199」に伸ばしていたレバンドフスキは、「ドルトムント戦で記録達成できたら夢だね」と気合を入れていた。そしてその言葉通り、この試合では2得点の活躍。ゴールシーンだけではなく、前線から絶えずプレスをかけ続け守備でも貢献し、ミュラーとのポジションチェンジを繰り返しながら、ドルトムント守備陣を終始混乱させていた。
充実のプレー内容に、試合後のミックスゾーンでは非常にリラックスした様子で取材陣の質問に答えていた。
「今日はみんなのやるべきことが全部上手くいったね。前半は特に素晴らしかった。試合開始からプレッシャーをかけることができて、ドルトムントはなす術がなかった。優勝にむけて大きな一歩を踏むことができたが、まだ終わっていない。これからも全力で試合に臨み、首位の座を守ってみせる」
3日にはDFBポカール準々決勝で2部リーグのハイデンハイムに大苦戦。最終的に勝利したもののミスを連発し、5-4での辛勝だった。ドイツメディアは不安定さを指摘していたが、トップレベルのゲームでさすがのメンタリティーを発揮。レバンドフスキも空気の違いを感じていていた。「チーム内のモチベーションは本当に大きかった。僕も昨日から試合に勝つためにできることしか考えていなかった。それをピッチで表現することができた」と胸を張った。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。