FIFA汚職事件の背景とは? 日韓W杯関係者が明かす巨大組織の実態

巨額の金が生まれ始まったバラマキ

――中小企業が業務の一部を、一流コンサルティング会社に外注したようなイメージですか?

「そう。大会開催時、自分たちが法的に守られる処置も行った。国際的なビジネスに参加できる体裁を整えたわけです。ただし、大きな問題は残ったままでした。何かというと、FIFAを動かす人々は変わらなかった。これが今回のFIFA汚職事件の伏線となっています。

 競技の普及と向上のためだけの組織なら、”サッカー村”の寄り合い体質のままでも十分だったでしょう。しかし、90年代後半のテレビ放送権の高騰によって、ワールドカップはさらに巨額の金を生み出すようになっていきました。

 74年に会長となったジョアン・アベランジェさんが24年間かけて作った利権構造を引き継いだブラッター会長は、FIFAの改革の一つとしてワールドカップ放送権の入札制を始めます。すると、それまで国際公共放送連合の談合で決められていた放送権料は、一気に5・5倍(フランス大会の約200億円が日韓大会で約1100億円)に跳ね上がります」

――放送権料の高騰はその後も続き、コカ・コーラ社やアディダスなどのFIFA公式スポンサーからの収入も上昇。正直、使い切れない額のお金が、”サッカー村”の寄り合いに流れ込んだわけですね?

「始まったのはバラマキです。98年に始まった『ゴール・デベロップメント・プログラム』では、世界中の加盟協会の本部やテクニカルセンターなど、700以上の施設を建設。また、各国のサッカー協会への補助金も惜しまない。これは競技の普及と向上というFIFAの目的に合致していますから、悪いことではありません。しかし、ブラッターさんがバラマキによってアフリカやアジア地域からの支持を集めてきたのも、事実です」

 

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