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FIFA汚職事件の背景とは? 日韓W杯関係者が明かす巨大組織の実態
アメリカ大会で法的措置の大切さを学ぶ
――設立から90年間も気づかないというのは、にわかに信じられない話ですね。
「これは想像の域を出ませんが、サッカーが人気の欧州や中南米、南米の国々ではワールドカップの開催を歓迎し、主催者であるFIFAに対して課税するという発想がなかったのでしょう。『大会、盛り上がりましたね』『よかったですね』と。いわば、なあなあで済んでしまっていた。ところが、サッカー後進国のアメリカでは、”サッカー村”の寄り合いの論理が通じませんでした。
同時にワールドカップ開催時の契約方法など、法的な措置の大切さも学んだのでしょう。私はこの時期、02年のワールドカップの日本招致委員会に出向。FIFAと連絡を取り合いながら立候補の書類提出作業を進めていましたが、直接、余波を受けました」
――生々しいですね!
「アメリカ大会が終わるまで、FIFAは『ワールドカップ開催に必要な要項は、フランス大会と変わらない』と言っていたので、私たちは98年大会用の書類に基づいて作業を進めていました。
ところが、94年末に送られてきた書類は、まったく別の書式になっていた。細部に渡ってFIFAの権利を擁護する内容に変わっていたのです。従来の書類が『最小限の覚書』なら、02年用のそれは『詳細な契約書』でした。
そのなかにいくつか疑問点があり、FIFAに問い合わせると、別のところに質問状を送るように指示がきた。そこはロサンゼルスにあるコンサルタント会社で、社長はアメリカ・ワールドカップの組織委員長を務めたアラン・ローゼンバングさんでした。つまり、FIFAは二度と痛い目に遭わないよう、昨日の敵に援軍を頼んだわけです」