初陣で垣間見せたクロップの狙い 「ゲーゲンプレス」の主軸を担う存在とは

「ゲーゲン・プレス」の主軸を担う者

 前任のブレンダン・ロジャース監督は、昨夏にレバークーゼンから加入したチャンを3バックの一角、もしくはボランチとして起用。主に後方の守備強化を目的に、このドイツ代表MFを重宝していた。

 しかし、クロップ監督はチャンをより高い位置に配置。球際が強く、フィジカルに長け、運動量が豊富なチャンを相手陣内に長い時間置くことで、有効なハイプレスを前線から激しく仕掛け、相手を苦しませた。

「我々はセカンドボールの支配に努めた。悪くはなかったはずだ。ただ、ボールを保持した際の冷静さやスキルの発揮に関しては大きく欠けていた。だが、今日に限ってはOKだね」

 クロップ監督が語ったセカンドボールの奪取は、多くの場面で見て取れた。そして、そのプレーの起点には、常にチャンの激しいプレッシングがあった。

 ドイツの智将はリバプールでも、「ゲーゲンプレス」という大きな船に乗り、プレミアリーグの荒波に立ち向かう覚悟を決めた。そして、その舵取りを担う存在こそ、クロップ監督に「偉大な指揮官であることに疑いの余地はない」と尊敬の念を示した、同胞のエムレ・チャンであることを予感させる試合となった。クロップ監督は次節のサウサンプトン戦で、熱きサポーターにより真っ赤に染まる本拠地アンフィールドに、その足を踏み入れる。

【了】

城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

 

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