【イタリア在住ジャーナリストの視点】クラブ批判に見えた本田の真意 迷走するミランに変革を起こせるか
発言の真偽は、すべて結果でのみ語られる
「ミランの構造を変えなければ変わらない」
本田が放ったこの言葉は、フォンタナがキャンバスに切り込んだメスの如く、波紋を呼んだ。しかし、これは真実だ。イタリアのサッカー界は間違いなく、変革の時を迎えており、古い体質から新たな構造へと変わっていかなければならない。デッラ・ヴァッレのフィオレンティーナやセンシ家の支配から離れたローマは、ミランやインテルよりも新しい構造へと移行したのが早く、それが近年のリーグでの好成績につながっているのは間違いない。
サッカー界は今、選手や監督の単調なお決まりコメントにみんなが眠くなっている。自分に自信があるものだけが、思ったことを自由に言う。それが愚かか、純真無垢か――。すべては結果によってのみ語られる。
2008年から2シーズン、インテルの指揮官を務めたモウリーニョは、彼が思う真実を語り、よくイタリアの報道陣を驚かせた。記者会見後、みんな「クレージーだ!」と叫んでいたが、彼は09-10シーズンに三冠王者となった。
自らの言葉でミランの現状に一石を投じた本田は、果たして、偉大なる先人たちのように歴史を変えられるだろうか?
【了】
フィオレッラ アンジェルッチ●文 text by Fiorella Angelucci
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images