【イタリア在住ジャーナリストの視点】クラブ批判に見えた本田の真意 迷走するミランに変革を起こせるか
あの言葉には変革への強い思いが溢れている
2002年、フィオレンティーナの会長が、チェッキゴーリから革靴の高級ブランド「TOD’S」グループを経営する大富豪デッラ・ヴァッレに交代した。当時、実業界から入ってきたばかりの会長は、イタリアサッカー界で権力を握るアンタッチャブルな3人への批判を、イタリア地元紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」でのインタビューで展開した。
まさにその時、「TOD’S」のブティックでは、20世紀を代表する画家ルーチヨ・フォンタナの展覧会が開かれていた。キャンバスに切り込みを入れた斬新な絵で、フォンタナは絵画の歴史を変えたのだが、デッラ・ヴァッレもまた、サッカー界に変革を起こしたかったのだろう。
ACミランの本田圭佑が、10月4日のナポリ戦後に意を決して発した言葉の数々も、「ミランを変革したい」という強い思いから湧き出たものに違いない。
本田のナポリ戦後の表明は、彼が子どもの頃からミランのファンだったことを考えると、他のイタリア人記者たちが書いているように、状況の悪いチームを飛び出し、1月にイングランドやスペインに移籍するためだけにやったものではないだろう。
確かに今季のミランは、欧州最高峰の舞台であるチャンピオンズリーグ(CL)にも、ヨーロッパリーグにも出ていない。だから向上心の強い本田が、自身を磨くためのよりよい環境を求めて、1月に移籍という選択肢を選ぶ可能性は確かにある。