2列目トリオは親善試合で「解体すべき」 “中島ありき”の日本代表に必要な変化と実験
ジダンとジョルカエフ、“不可欠な2人”をW杯前に共存させず
1998年フランスW杯で初優勝したフランス代表の攻撃の両輪は、ジネディーヌ・ジダンとユーリ・ジョルカエフだった。ともに「10番」タイプだが、2人のコンビネーションも良く、どちらもチームに欠かせないことがはっきりしていた。ところが、エメ・ジャケ監督は親善試合でこの2人をあまり共存させていない。
フランスは開催国だったので、W杯の2年前に行われた欧州選手権(EURO)が最後の公式戦だった。その後の親善試合は毎試合、メンバーかフォーメーションを変えていた。同じメンバー、同じフォーメーションを使ったことが実に1回もなかった。前半がジダン、後半はジョルカエフというように、2人を同時にプレーさせることも避けていた。
ジダンとジョルカエフは親善試合でテストする必要がない。実力は十分に分かっている。2人のコンビネーションが良いのも分かっている。そこでジダンの周辺とジョルカエフの周辺に、それぞれどんな選手を配置すればいいかをテストした。
さらに、不可欠の2人のどちらかを欠いた場合にどうするかを探っていた。実際、フランスW杯でジダンはグループリーグ第2戦で退場処分となったので、“ジダン抜き対策”はある意味、的を射ていたことになる。
日本も、もう中島をテストする意味はない。中島がいない時にどうするか、南野・堂安以外のパートナーと何ができるか、中島の守備をカバーするにはどうすべきか、そうした事柄をテストしていくべきだ。中島、南野、堂安をセットで使うのは公式戦限定でいい。親善試合で彼らの“ショー”を見られなくなるのは、残念ではあるけれども。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。