その意図はどこにあったのか? 日本代表、疑問が残った森保監督の“11人総入れ替え”
ボリビア戦で世代交代は感じさせたが、幹の強化は必要なかったのか
一体、その意図はどこにあったのだろうか。日本代表の森保一監督は26日に行われたボリビア戦(1-0)で、22日のコロンビア戦(0-1)から先発11人全員を入れ替えて臨んだ。前日の記者会見で「できれば招集した全選手を使ってあげたい」「基本的に総替え」と話していた指揮官が、実際にピッチに送り出した先発イレブンにコロンビア戦のスタメンは1人もいなかった。
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日本代表は、限られた回数しか活動できない。その少ない機会で、招集された選手たちは自身の特徴をアピールしなければいけないが、同時に監督はチームを熟成させて、選手層を厚くしていかなければならない。
例えばアジアカップでは、大会直前に負傷したMF中島翔哉(アル・ドゥハイル)の穴埋めに苦労した。こうした機会にバックアップの選手がどれだけできるかをテストするべきではなかったか。そのためには、ある程度、チームの軸となる選手をスタメンに残し、代わりになる可能性のある選手を当てはめていくやり方をすべきだっただろう。
試合後、森保監督は「選手を総入れ替えして、選手たちには『日本代表として戦う責任のなかで勝利を目指すこと。サポーターや支えてくれる人に勝利を届ける責任は誰が出ても変わらない』と話して臨みました。この2試合、経験の浅い選手にもプレーしてもらいましたが、プレー、連係、ある程度の手応えをつかめたことが、総じて言えることです。ただ、試合を決定づけること、試合の流れを変えるところでは、まだまだ力不足のチームだと選手に伝えてきました」と語った。だが様々なリーグでプレーし、同一チームでプレーした経験がほとんどない選手たちがいきなり並べられても、機能しないのは当たり前だろう。
結果的に2列目で先発した3人がベンチに退き、森保ジャパンの看板となっている中島、MF南野拓実(ザルツブルク)、MF堂安律(フローニンゲン)のトリオが並び、決勝点が生まれたことで、世代交代が進んでいる印象を与えることになった。そのため、“香川との融合”が今連戦のテーマだったはずだが、少しオーバーな表現になるが、これまで代表に招集していなかった香川に引導を渡す90分になったようにさえ映った。
2人が代表デビューを飾り、90分を無失点で終えるなど、この試合の収穫がゼロだったとは言わない。だが、最も見たかったチームの幹を太くする作業は、この2連戦では行われなかったのではないだろうか。その点では、もったいない90分になったと強く感じる。
(河合 拓 / Taku Kawai)