データが示す日本の悲しい現実 アジアでさえ優位性を失ったハリルJの真骨頂
ハリル戦術を独自解析
あえてFIFAランキング表を参照するまでもなく、シリア戦までの4試合は、圧倒的力の差があるアジアの格下を相手にした際の攻撃面での改善というのが主たるテーマだった。
13日に敵地で行われた親善試合イラン戦でようやくFIFAランキングを出す意味が出てきた。日本の55位に対してイランは39位。宣伝文句を用いるとするなら、アジアナンバー1との戦いだ。試合は1-1のドローに終わったが、(ランキングで)格上との戦いにおいても、これまでのアジアとの戦いの延長線上のような圧倒的な試合ができたのだろうか?
ハリルホジッチ監督が再三強調してきた速い攻撃、“Duels”(1対1の戦い)、インテンシティーの高さを実践できたのか検証してみたい。
速さの指標として15秒以内のポゼッションのデータを利用した。これは、マイボールにしてから15秒以内で、シュートで終わったケース、そして15秒以内で相手にボールを奪われてしまったケースなどのパターンが混在するが、時間をかけたポゼッションのデータを排除するためにあえて使ってみた。シンガポール戦、カンボジア戦、アフガニスタン戦ではいずれも15秒以内のポゼッション数は相手よりも少なかった。
その一方で、相手のこの数字の多さは速攻というより、あっという間にボールをロストしたシーンがあまりに多かったと言って問題はないだろう。ハリル監督の指示と練習での取り組みにより、シリア戦ではあらためて縦に速い攻撃というコンセプトが徹底されたのだろう。その数は急激に増加し、イラン戦でも継続された。それはカウンターアタックのデータからも見ることができる。