「やめるとは断言してない」 内田が代表を続行か引退かで思い悩む
「やめるとは断言してないからね」
内田篤人は、大会前から所属クラブと日本代表の狭間で思い悩んできたという。大会期間中は、その思いを押し込め、南アフリカW杯でピッチに立てなかった悔しさをブラジルの地でぶつけた。
いまいる場所に、満身の力を傾けてきた。だからこそ、欧州と日本との長距離移動や、ハードな日程の中で自らが納得する力を出せないことへの疑問が自然と湧いてきた。取材陣から「やっぱり体の負担とかも考えているのか?」と聞かれると、「そこはやっぱりある。代表も大事だし、代表を凄いリスペクトしている分、100%でいれない自分でどうなのかなと」と胸に抱えてきた思いを吐露した。
コロンビア戦の直後、代表引退を示唆した。その反響の大きさも承知の上だった。「友だちからも『やめんの?』みたいな連絡も来た。まあ、言うことには影響力があるし、その影響を理解した上で言ってるつもりだし、ここで『やります』って言ったらやるしかない」。そう言って苦笑いで「追い込むにはもってこい」と続けた。
「まあこの大会が終わってから、ちょっと考えようかなと思っていましたし、ここ最近でどうこうじゃなくて、だいぶ長い間考えていたことなので。どうしようかなというか、まあ、代表は選ばれないとしょうがないんだけどね」
近しいわずかな人にしか話さなかった本当の思い。それを公言したタイミングが、ブラジルW杯がすべて終わった直後のミックスゾーンだったのは何とも彼らしいのかもしれない。4年後のロシア大会について質問が及ぶと、「(代表引退か続行かを)決めてからじゃないかな。人に言われて決めることじゃないから」という。
4年前はタッチラインを越えることさえできなかった。その男は、1次リーグ全3試合にフル出場した。日の丸を脱ぐのか、それとも再び背負うのか。決断のタイミングは「全然決めてない」。ただし、間違いないことがある。彼はエネルギーを傾けてきたW杯を自己終息させ、どの選手よりもはやく次に歩き始めている。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
※ワールドカップ期間中、記事内で扱うシーンの一部はFIFAワールドカップ公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』のマルチアングル動画、選手毎のスタッツデータで確認できます。
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