“ドリブル小僧”からゴールゲッターへ C・ロナウドの変貌を支える「尋常でない速さ」

首の力でパワーを生み出した2点目のヘディングシュート
プロ選手の多くは子どもの頃、ドリブラーだった。1980年代にブラジルの名手だったソクラテスは、ゴールゲッター兼プレーメーカーだがドリブルの印象はない。細身の長身でゆったりとエレガントに動き、球離れのいい選手だった。しかし、少年時代はドリブル三昧だったという。
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ドリブルは意外と体力を使うし、自然とステップワークが身についていく。それは直接ドリブルでなくても、他のプレーに生きてくる。そうした類のステップワークは、ラダー(敏捷性強化に使うハシゴ状のトレーニング用具)を使って練習しても会得するのは難しいらしい。プロになってからもドリブラーだったロナウドだからこそ、ゴール前でのあの動きができるのだろう。
2点目は右サイドからのシンプルなクロスをヘディングで当てただけのように見えたが、力のあるシュートを枠へ飛ばしている。体を大きく使っていないのに、首の力でパワーを生み出していた。
ヘディング2発で0-2と敗れた第1戦の借りを返すと、フェデリコ・ベルナルデスキの突破から得たPKを決めて3-0。難攻不落のアトレチコ守備陣を一人で攻略して、チームに勝利をもたらしてしまった。圧倒的な存在感である。
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。