先発5人を変えて臨んだ10年ぶりのイラン戦 敵地で先制許すも武藤の一撃でドロー
武藤が執念の同点弾 南野はA代表デビュー
ハリルホジッチ監督は、ハーフタイムに香川真司(ドルトムント)に代えて清武弘嗣(ハノーファー)を投入。すると、わずか3分でハリルジャパンは同点に追いついた。右サイドから本田圭佑(ACミラン)が左足でゴール方向に変化するクロスを入れると、相手GKと武藤が競ってこぼれたボールがそのままゴールの中に転がり込み、1-1の同点とした。
前半とは打って変わって、両チームともゴール前のシーンが増える後半になった。イランは前半から多く見られた米倉のサイドからのクロス攻撃を多用。日本はゴール前で跳ね返すプレーを強いられた。一方の日本は、一度前線に当てたセカンドボールを拾った場面で攻撃にスピード感が生まれ、ゴールに迫った。
同13分、日本に再び決定機が訪れる。イランのコーナーキックを守ったところからのカウンターで、清武、宇佐美、武藤とつながり、武藤がドリブルで独走。相手GKとの1対1をドリブルで交わしにかかったが、セーブされ、そのこぼれ球に本田が詰めたが、イランDFの素早い戻りにシュートを打たせてもらえなかった。直後の同14分、ハリルホジッチ監督は宇佐美に代えて原口元気(ヘルタ)をピッチに送り込んだ。同21分には、本田に代えて岡崎慎司(レスター)をピッチへ。武藤が右に回り、岡崎が1トップに入った。
試合が再び膠着(こうちゃく)し始めると、ハリルホジッチ監督はピッチ上に変化をもたらす存在としてMF柏木陽介(浦和)を柴崎に代えて投入。柏木にとっては、2012年2月24日の国際親善試合アイスランド戦以来、約3年8ヵ月ぶりの日本代表のピッチになった。柏木はビルドアップに関わる一方で、長い距離を走って前線をサポート。ポジション間を横断する動きが試合に変化をもたらした。イランの運動量が落ち始めたこともあり、原口がドリブルで仕掛ける場面も生まれて。日本にリズムができはじめた。
しかし、残り10分を切った頃からホームで勝利への執念を見せるイランが再び主導権を握った。日本はクロスやセットプレーをゴール前で跳ね返し、失点をせずに耐えていった。そして、試合終盤に入った同43分、武藤に代えて南野拓実(ザルツブルグ)がピッチへ。南野にとっては、これが代表デビューとなった。
アディショナルタイムに入って以降も、日本は右サイドから柏木が蹴ったフリーキックに岡崎が飛び込んだ後、ゴール前の混戦で押し込みにかかるシーン、イランはカウンターからの中央突破を狙うシーンと際どい場面を作ったが、互いに最後のところで守備陣が耐えてゴールならず。試合はこのまま1-1で引き分けた。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images