コロンビアでバルデラマと“共演”した日本人DF 中南米を渡り歩いた波瀾万丈のキャリア
親身になった元パラグアイ代表DFの助言 「北中米カリブ海はどうだ?」
そんな時、相談に乗ってくれたのが元パラグアイ代表のDFデニス・カニサだった。国内1部リーグを観戦に行き、仲良くなったカニサが教えてくれたのは「パラグアイでは球際が大事。1対1では絶対に負けるな」ということだった。
パラグアイのサイドバックはブラジルとは違って攻撃に上がることが少なく、守備的な選手が多い。戦術も守備に重点を置いており、両サイドバックは攻撃には参加せず、4人で守れという指示をする指揮官も多かったという。だが、2部以下のリーグでは監督が賄賂をもらってメンバーを決めるなど、お金に汚いチームも珍しくなく、リーグとして腐敗しているという現実も教えられ、山中は心に決めた。
「パラグアイにはいないタイプの攻撃的なサイドバックとして勝負しよう」
攻撃的サイドバックは監督によって好き嫌いがあり、時に評価されないこともある。それでも、それまでは攻撃に参加するか迷いが出ることもあったが、その後は躊躇なく攻撃参加できるようになったという。
「パラグアイのサッカーは南米のほかの国と違って華麗なサッカーではない。ボランチには試合を組み立てるような選手はおらず、相手エースFWを止めるのが役割。つなぐサッカーではなく、前に蹴ってFWに当てて、そこからセンタリングか2列目がシュートというリアクションサッカー。だからセンターバックとFWに強い選手が生まれやすく、FWはポストプレーが上手い選手が多い。一方で中盤はプレーが粗い選手ばかり」
当時のパラグアイは代表チームだけでなく、1部の各チームも4バックがほとんどで、両サイドの選手が積極的に攻撃参加する3バックのシステムを採用するチームはあまりなかった。そして「一度、違う国や大陸でやってみるのもいいんじゃないか? お前はスペイン語が話せるから北中米カリブ海はどうだ?」というカニサの言葉が山中を動かした。
インターネットで調べると、ちょうどドミニカ共和国で15年にリーグがプロ化されるというニュースを目にし、心が動いた。