攻撃のための前進守備 ハリル監督が掲げた新戦術「ラディカルチェンジ」
「前に守備をしながらボールを奪いに行く」
「我々のディフェンス面では本当にラディカルチェンジしたい。下がりながら守備をするのではなくて、前に行きながら守備をする。これはラディカルチェンジという。前に守備をしながらボールを奪いに行く。これがまだまだ身についていない人もいる。これはスピーチやディスカッションを通してだけで変わるものではない。我々がしっかりトレーニングしながら、習慣化されなければならない」
指揮官は守備面でのアプローチにおいて、自陣に引いてボールを奪うのではなく、前進しながら高い位置でボールを奪い取る「ラディカルチェンジ」の考え方を導入したいという。すでにミーティングでは選手に説明しているようだが、浸透には至っていない様子だ。
ハリルホジッチ監督が掲げた「ラディカルチェンジ」というコンセプトは、指揮官の言葉から推察するかぎり、日本代表MF香川真司の恩師であるクロップ氏が、ドルトムントを率いた際に編み出した「ゲーゲンプレス」と類似性を持つ戦術のようだ。前線でボールを奪われた瞬間に、一気にプレッシャーをかけて、相手ゴールに近い地点からカウンターを狙うクロップスタイルはまさに攻撃のための守備。これで欧州サッカー界を席巻し、名将の誉れを手にした。
選手に対して「デュエル」というワードを頻発し、1対1での厳しさを求めてきたが、ハリル監督はクロップ流も導入し、日本代表を強化しようと試みている。だが、一朝一夕で「ラディカルチェンジ」は完成しない。