“城福サンフレッチェ”が挑む大改革 世代交代&戦術変更の同時着手に見据える“夜明け”
ペロトヴィッチ監督時代の方向性を感じさせる城福監督のチャレンジ
若い世代だけを起用するだけが、今季の広島の特徴ではない。戦術も大きく方向転換を行っている。フォーメーションを3-4-2-1に変え、ボールを握ることをコンセプトに掲げた。もちろん「ボールを握る」と宣言してすぐにポゼッション率が60%までいけるほど、簡単ではない。第1節の対清水戦では相手を上回ったが、磐田、C大阪戦とボールは握られた。だがそれでも、攻撃に特徴のある松本泰志と川辺駿がインテンシティーの高い守備にチャレンジし、野津田岳人が走って走って攻守のスイッチを入れる。美しいコンビネーションと言うにはまだまだだが、その一歩手前までは行けるようになってきた。
城福監督就任まではなかなかできなかった「ボールを奪われた瞬間にプレスをかけてボールを奪い返す」というアグレッシブな形は定着し、C大阪戦ではその形から相手のミスを誘ってゴールも取った。決してチャンス量産という試合はなく、攻撃はまたまだ発展途上だ。しかしそれでも、3試合で勝ち点5を積み重ねた。AFCチャンピオンズリーグ(AFC)の広州恒大戦は敗れてしまったが、ボール支配率は60%近くまで記録し、シュート総数・枠内シュート・パス総数・パス成功率でも、チャンスの数でも上回った。広州恒大は広島のパス回しによって動かされ、疲弊し、足をつる選手が続出していたのである。
C大阪戦ではボールをインタセプトした後のプレー選択が上手くいかず、相手に取り返されるシーンも増えた。ビルドアップが安定せず、試合の後半はボールを捨てるプレーも目につき、川辺は「チームとしての課題」と指摘する。
城福監督も「攻撃でのスピードアップのタイミングが少し早過ぎた。もう少し、相手のアタッキングサードのところまで、つないでボールを運べたと思います。守りに関してはよくやってくれたけれど、相手陣内で時間を費やすことに関しては、次の課題」と言及した。結果を出しながらの改革は、非常に難しい。しかし、選手にも監督にも、それをやりきろうという覚悟が見える。それがC大阪戦での「割り切った」勝利につながった。
城福監督がやろうとしていることは、広島にとっては2006年6月にミハイロ・ペトロヴィッチの監督就任時にやったことと、質はやや違うとはいえ、同じ改革なのである。当時、ペトロヴィッチ監督はベテラン選手をレギュラーから外し、MF青山敏弘やMF柏木陽介(現・浦和レッズ)を抜擢。翌年にはDF槙野智章(浦和)を起用して選手たちの若返りを進め、極端なまでのポゼッション志向にサッカーそのものを変革した。城福監督も足元の技術に優れた才能を抜擢し、年齢や経験に左右されない選手起用を徹底する。「その結果として若手が多く試合に出ている」(城福監督)こともまたペトロヴィッチ監督の方向性と似ている。
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