苦しむレアルは“明日のバルサ”? 低調なクラシコ、過渡期に喘ぐ二大巨頭の姿
国王杯準決勝はバルサが2戦合計4-1快勝も…「よく分からない試合だった」
スペイン国王杯準決勝の第2戦、レアル・マドリード対バルセロナのクラシコは、アウェーのバルセロナが3-0で勝利。2戦合計4-1として決勝進出を決めた。
試合が動いたのは0-0で迎えた後半だった。ウスマン・デンベレの折り返しをルイス・スアレスが決めてバルサが後半5分に先制。その後はレアルが、ヴィニシウス・ジュニオールの突破から立て続けに決定機を作るが決めきれず、逆にバルサがデンベレのクロスボールからオウンゴールを誘発し2点目。さらにスアレスのPKでダメ押しの3点目を決めている。
正直、よく分からない試合だった。
スコアほど試合内容に差があったとは思えない。人にフォーカスすれば、キープレーヤーはバルサのリオネル・メッシとレアルのヴィニシウスだった。最も相手に脅威を与えられる存在だからだ。
ヴィニシウスは随所にスピードと技巧を発揮していた。決定的なシュートを決め損ねたのは悔いが残るだろうが、バルサにとって最も厄介だったのは間違いない。まだ18歳、クリスティアーノ・ロナウド(現ユベントス)の穴を埋めたと言えるほどではないが、これからのレアルを背負って立つ選手だろう。
では、メッシはどうだったか。実はほとんど目立たなかった。もちろん、上手いのは相変わらずなのだが、ヴィニシウスほどゴールに迫るプレーはしていない。少なくとも両チームのエースの活躍が、試合結果に影響したわけではなかった。
戦術的なポイントはレアルの守り方だった。デンベレとジョルディ・アルバが並ぶバルサの左サイドに対して、レアルは右のルーカス・バスケスとダニエル・カルバハルがマンマークに近い対応をしている。これは第1戦でも同じだった。高い位置へ出てくるジョルディ・アルバに対しては、ルーカス・バスケスが下がってマークし、ハーフスペース(ピッチを縦に5等分し両端と中央の間にあるエリア)へ移動するデンベレにはカルバハルがそのままついていく。これで前半は上手く対応できていた。
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。