南野拓実、敵将も“想定外”のジョーカー起用で貫いた闘争心 「1対1で絶対に負けない」

熾烈を極めるレギュラー争い、終了間際に見せた“プラスアルファ”

「自分はアシストかゴール、攻撃……ゴールに向かうところで何かを示したいと思っていたので。あの場面は狙っていましたし、FWがきっちり決めてくれて良かったと思います」

 1アシストをマークした試合をこのように振り返った南野。途中投入の選手が与えられた役割をこなすのは義務だ。そのうえで、どんな“プラスアルファ”を見せられるかが重要になる。

「自分が入ってチームの守備でバランスを取るだけじゃなくて、やっぱり攻撃でのアグレッシブさとか、相手にとって怖い選手というのを見せたかったですし、シュートとゴールに向かうプレーというのは意識していました。(強烈なミドルシュートを相手GKがセーブした)あの場面もゴールにはならなかったですけど、そういう姿勢は常に見せていきたいと思います」

 ローゼ監督は「チーム内のポジション争いは厳しい」と公言する。誰がプレーできるか分からない緊張感。それは同時に、好アピールをすればスタメンを勝ち取ることができるという意味でもある。

 ELベスト16の相手はナポリ(イタリア)に決まった。ザルツブルクにとっては間違いなく強敵だ。だが、そうした相手と対戦できる喜びはとても大きい。その舞台に立つために、誰もが猛アピールをしてくる。南野にしても引くつもりなどない。自信もあるし、自負もある。プレーで納得させ、自分がそのポジションを勝ち取ってみせる。

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(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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