短期的な効果は期待薄　きちんと手順を踏めば長期的な成果は得やすい

　ただ、世界的にバルセロナを模倣したチームはいくつかあったが、あまり長続きした試しはない。プロはどうしても目先の勝敗に左右される。バルサを真似てもすぐにバルサと同じプレーができるはずもなく、かなり上手くいっても「ウチにはメッシがいない」と気づくだけだった。Jリーグの“外注方式”が成功するかどうかは、どれだけ長期的な展望を持てるかにかかっていると思う。

　言い換えると、メソッド部門をいかに回していけるか。ロジカルなサッカーなので、何が足りないかは明確に分かる。どのポジションにどんな選手が必要なのかは、すでにモデルも存在する。足りないところを補強し、その結果がどうだったかもデータが残る。積み上げやすいサッカーなのだ。短期的な効果は期待薄だが、きちんと手順さえ踏んでいけば積み上がっていくので長期的に成果を得やすい。どこまで粘り強く続けられるか、改善に改善を重ねられるかが勝負だろう。

　総本家のアヤックスでは、すでにチーム単位の育成から個の育成に比重が移されている。ウイングならウイング専門のコーチがいる。プレースタイルが確立されていて、その中でモデルとなる多くの名手が生まれており、彼らの経験が育成に還元されていく。そうした成長のサイクルを作れたチームが、大きな果実を獲るのではないか。

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