「また一から精進してやっていきたい」。敗戦の現実を受け入れつつも、自らのスタンスを信じる本田圭佑
■今は何を話してもキリがない
後ろ指を差される覚悟がなければ、初めから口にはしなかっただろう。それでも、これからも自らの流儀を曲げるつもりはない。そして、現時点では世界の大舞台で通用しなかった“自分たちのサッカー”も、同様に否定しなかった。選手間の距離を縮めてパスをつなぎ、奪われたらすぐに前線からボールを追う。その連続性のある攻撃的なサッカーを続けていくべきだという。
「もう何を言っても、負けたんで、負け犬の遠吠えになってしまうけど、やはりこういうサッカーで勝たないと見てる人も魅了されない。勝ってないんで『何、言ってんねん』ってなるんでしょうけど、大きく議論されるでしょうけど、僕はこのスタンスでいくことが、個々の選手の成長にもつながると思ってます」
完膚なきまでに敗れ去った男は、「日本サッカー界を背負って戦ってきた。いろんなものを失うことになる可能性もあるし、それをまた取り返していかないと。また皆さんにね、日本代表という、日本のサッカーという船に乗ってもらえる日が来ることを信じて、またやるしかない。また一から精進してやっていきたい」と言い残し、王国を去る。
船首で旗を振り、日本サッカーを前進させてきた自負がある。その姿に夢を見たが、その船は暗礁へと乗り上げた。地に落ちた日本の司令塔は、再び這い上がれるのか。メディアから最後に「4年後に向けては?
と質問が飛ぶと、失意の彼は「もういいすかね。何話しても(今は)キリがないと思うんで」と口を閉ざした。どうしようもない現実に、本田圭佑が描く航路は、まだ見えない。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
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