本田待望論が浮上 今こそミランに求められる“平凡力”

異常なミランに均衡をもたらす泥仕事

 インフルエンザで3日間発熱していた本田自身は試合後、「なんで出れなくなったのか分からない。こういう試合をやっていて出れるチャンスがないのがおかしい」と、リードされている試合で出番がなかったことに憤っていた。だが、ヴィンチ記者は劣勢時に得点を奪う能力ではなく、チーム戦術を忠実に順守し、システムに均衡をもたらす本田の“普通さ”が異常事態に陥っている現在のミランに必要なのだという。特に、破綻をきたしている守備面で利益をもたらすのでは、と分析した。

 そして、ナポリ戦での本田には、不振のチームに皮肉を込めて最高点を与えている。「ナポリ戦では本田に8点を与える。なぜならプレーしなかったからだ。インフルエンザを早く治してほしい」とヴィンチ記者は話していた。

 その一方で、ミハイロビッチ政権のスタートは、あまりに深刻だという。

「これほどまでに悪い結果をもたらすとは、想像していなかった。ミランのこのネガティブさは危険である。心配だ。ナポリは21日間で7試合をこなしたのに、元気だった。問題は精神的なものだと思う。選手たちは足が震える。スピードもない。足りないものがたくさんある。問題はリーダーシップの欠如にもあると思う。シニシャは危険な立場にいると思う」

 ヴィンチ記者はそう言って警鐘を鳴らす。

 本田は2014年1月にミランにやってきてから、マッシミリアーノ・アッレグリ元監督、前コーチのマウロ・タソッティ暫定監督、クラレンス・セードルフ元監督、フィリッポ・インザーギ前監督、そして、ミハイロビッチ監督とすでに5人の指導を受けている。序盤の不振によって6人目の監督がやってこないためにも、チームをあるべき姿に戻さなければならない。泥仕事、黒子役をいとわない本田の“普通”のプレーが、今の異常な状態のミランに求められている。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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