原口元気、ハノーファー“10番”の使命感 「得点への意欲がもう一度戻ってきている」

ハノーファーで"10番"を背負うMF原口【写真:Getty Images】
ハノーファーで"10番"を背負うMF原口【写真:Getty Images】

ニュルンベルク戦に先発、リーグ戦10試合ぶりの勝利に貢献

 アジアカップの戦いから所属するハノーファーに戻った原口元気は、前節ニュルンベルク戦で早速スタメン出場を飾り2-0の勝利に大きく貢献した。それまでチームはホームで無得点の5連敗。調子が一向に上がらない状態を受け、首脳陣はアンドレ・ブライテンライター監督を解任せざるをえなかった。

 日本代表が昨夏、ロシア・ワールドカップ前の直前合宿でオーストリアに滞在していた間、ブライテンライターは原口に直接電話をかけ、移籍に向けて説得を繰り返し、そのなかで原口を左のオフェンシブな位置で起用するアイデアを明かした。

「ヘルタや日本代表でのポジションとは違い、左サイドでプレーしてもらおうと思っている。ゲンキ自身にもそうした思いがある。左から中へと切り込み、よりゴールへの危険な香りを出すことができるはずだ」

 だが、そうした目論見どおりにはいかなかった。原口自身新しいチームへの移籍ですぐにフィットしなかったこともあるが、やはりチームが思っていた以上に勝てなかったことが大きい。オフェンシブなことをどうこうする以前に、守備の安定に取り組まざるをえなかったからだ。3バックへの変更に伴い、原口のポジションは右のウイングバックとなった。

 多少はリズムも良くなった。勝てる試合も出てきた。しかし、第12節のボルシアMG戦に1-4で負けると、そこからまったく勝てなくなる。点が取れないだけではなく、チャンスを作ることもなかなかできない。サッカーは守備だけをしていて、なんとかなるものではない。リズムが必要だ。攻守に起点を作れないとボールを奪いに行くこともできず、積極性はどんどんなくなってきてしまう。

 原口はなんとかしようとしていた。第16節フライブルク戦(1-1)後には「もう強気でいかないといけない。チームが点取れなくて、上手くいっていないんで自分自身がリスクを負って。今日、何回かドリブルで(仕掛けて)取られたけど、これまで取られること自体が少なすぎた」と、積極的な姿勢の大切さを訴えていた。一人でできることは限られる。でも、誰も何もしなければ何も変わらない。 

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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