時代に即していない「日本高校選抜」 “2年生以下限定”など抜本的改革が急務
“2年生以下”の編成なら名目どおりの有益な投資になり得る
ただでさえ大所帯の高校では、3年生になると極端に試合過多になりがちだ。最上級生の負担を減らし、多くの部員に経験を積ませる意味でも、そろそろ抜本的な改革を考える時期が来ている。
例えば、春の地域大会や真夏のインターハイは、現場からも歓迎する声を聞いたことがない。そもそもJFA(日本サッカー協会)はリーグ戦導入を進めてきたが、ノックアウト方式の大会を継続しているので、現場はオフも確保できず疲弊するばかりだ。本来なら早急に廃止するべきだが、それができないなら国体を1年生向けに変革したように、インターハイの出場資格も2年生以下に絞る方法もある。そこで高校選抜の候補をラインアップし、選手権を経て新3年生で欧州遠征に出かける。これなら名目どおり高校選抜になるし、有益な投資にもなりそうだ。
ちなみに8年前に高校選抜が参加したデュッセルドルフ国際を取材したが、今Jリーグで最も活躍しているのは唯一2年生で参加した白崎凌兵(鹿島アントラーズ)である。効果のある刺激なら、1年でも早く与えたほうがいい。
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(加部 究 / Kiwamu Kabe)
加部 究
かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。