時代に即していない「日本高校選抜」 “2年生以下限定”など抜本的改革が急務

コンサドーレ札幌に加入したMF檀崎が日本高校選抜を辞退【写真:Football ZONE web】
コンサドーレ札幌に加入したMF檀崎が日本高校選抜を辞退【写真:Football ZONE web】

J1札幌新加入の檀崎が辞退、プロ選手として妥当な判断

 青森山田からJ1の北海道コンサドーレ札幌に加入した檀崎竜孔が、日本高校サッカー選抜を辞退した。

 高校選抜が4月に参加するトーナメント(デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会)には、欧州でも選りすぐりのチームが参加するので、この世代にとっては貴重な国際経験になる。だが檀崎はすでに新天地に足を踏み入れ、一段とハイレベルな競争を始めている。一定期間でもチームを離れれば出場機会が遠退くことは容易に想定され、妥当な判断だと言える。

 Jリーグ草創期には、ジェフユナイテッド市原(現・千葉)入りした高卒ルーキーの城彰二が、開幕から大活躍をしたことがあり、連続試合得点記録を継続中に高校選抜の遠征に参加した。

 当時を振り返り、城は語っている。

「久しぶりに同年代と一緒にプレーしてリフレッシュできた」

 高校を卒業したばかりの選手がプロの試合に出場し続け、しかも話題の中心になっていたので、スタッフもどこかで休ませる必要があると考えていたところだったそうだ。

 高校選抜がスタートした頃は、全国高校サッカー選手権が日本サッカー界全体でも群を抜いて注目を集めるイベントで、ここで活躍した選手たちが未来を担っていた。だから大会で発掘した選手を国際舞台に送り出すのは、そのまま未来への投資を意味した。

 だが卒業した選手たちに投資するには、あまりに時期が悪い。選手権は高校生の総決算になる。最近はボトムアップ理論(選手主体の指導法)をはじめ、新しい取り組みも出てきているが、基本的に多くの強豪校における選手たちの3年間はサッカー漬けだ。少数のプロに進む選手はともかく、大半を占める大学進学組にとって選手権直後は待ちに待った束の間のオフである。そんな時にセレクションに招集されても、モチベーションどころか体調管理も難しい。

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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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