マンUは真の復活を遂げたのか? 元主将OBが訴え「サッカーを知る人間に決定権を」

OBのギャリー・ネビル氏【写真:Getty Images】
OBのギャリー・ネビル氏【写真:Getty Images】

年間800億円を超える総収入、ネビルは“商業主義”に警鐘

「監督以前の問題」「クラブ全体をリセット」。ネビルはモウリーニョ批判に終始していた座談会で、「彼だけが悪いのではない」とばかりにそう言い放った。それも非常に過激な物言いだった。そして堰を切ったように、以下のように続けた。

「確かにマンチェスター・ユナイテッドのコマーシャル部門は素晴らしい業績を上げている。この分野では世界最高だ。しかし、だからといって彼らが現場の意思決定まで行うべきではない。6年前、我々は二人の偉大な人材(ファーガソン監督と補強を支えたデイビッド・ジルCEO)を失った。その代わりを、業績が素晴らしいからと言って畑違いの人間が行っていいものなのか。もっとサッカーの現場を知る人間に決定権を戻すべきだ」

 偉大なるサー・アレックス・ファーガソン監督の退任後、プレミアにおけるユナイテッドの威光は大きく減退した。かつては毎年優勝を争い、イングランド最強の名を欲しいままにした強豪が、不世出のカリスマ監督を失って以降5シーズンの成績は7位、4位、5位、6位、2位。モウリーニョは昨季の2位を「私の履歴の中でも誇りに思う業績」と語っているが、優勝したマンチェスター・シティに勝ち点差「19」をつけられた準優勝に、それほどの価値があるとは思えない。

 しかし、この凋落の一方でレアル・マドリードやバルセロナをしのぎ、12年ぶりに世界一に返り咲いた分野がある。それはクラブの総収入額だ。世界最大の米会計会社「デロイト」による「フットボール・マネーリーグ」のランキングで、ユナイテッドは一昨年(2016年度会計)、昨年(2017年度会計)と堂々の世界一。2年連続で日本円にして年間800億円を優に超える巨額を稼ぎ出した。

 しかしサッカー・クラブとして世界一の収入を記録した2015-16シーズンのユナイテッドの成績はリーグ5位。CLはグループステージで敗退している。

 確かに弱体化したと言っても、7万6000人収容の本拠地オールド・トラッフォードは今も常に満員だ。けれども当然、テレビ放映権料収入はリーグ戦の上位クラブ、またCL決勝トーナメント進出クラブに劣る。ところがユナイテッドの収入は世界一。その秘密は、莫大なスポンサー料収入にある。

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森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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