“成り上がりDF”塩谷司 ハリルジャパン人材難の右サイドバックに殴り込む
遠藤航と同様のパターンで定着なるか
1日に行なわれた日本代表のメンバー発表会見で、酒井高徳(ハンブルガーSV)の次に名前が呼ばれたのが、広島の塩谷司だった。
「日本代表に選出されて光栄です。まずは週末のリーグ戦をしっかり戦って日本代表に合流したいと思います。そして、日本代表では自分にとって初めてのワールドカップ予選となりますが、チームの力になれるように頑張ります」と、クラブを通じて抱負を語った塩谷は、ハリルホジッチ体制では5月の国内合宿に参加している。注目は、その起用ポジションだ。
会見内で指揮官は、次のように招集意図を述べている。
「私にとっては興味深い選手だ。自分のクラブではやや真ん中のポジションをやっているが、(代表では)右サイドバックとして競争してほしい」
所属クラブで3バックの一角を務めながら、A代表では右サイドバックでプレーするーーというのは、8月に行なわれた東アジアカップでの遠藤航(湘南)と同じパターン。そんな指揮官の抜擢に応えて評価を高めた遠藤と同様に、「テクニックは申し分なく、パワーもある」(ハリルホジッチ監督)と資質を備えているが、今回の招集には怪我人続出による同ポジションの「人材難」という事情も見え隠れする。
A代表でずば抜けた実績を誇る内田篤人(シャルケ)は、今年6月に右膝を手術しリハビリ中。9月のワールドカップ予選でスタメンを務めた酒井宏樹(ハノーファー)は右太もも裏を痛め、前述の遠藤も怪我によって、今遠征では招集を見送られた。
ワールドカップ予選の大一番と目される10月8日のアウェーでのシリア戦は、これまでの3試合とは異なり、押し込まれる時間帯も想定される。サイドバックが本職の長友佑都(インテル)、酒井高、米倉恒貴(G大阪)、8月の東アジアカップで同ポジションを経験済みの丹羽大輝(G大阪)も招集されているが、高さと球際の強さを備え、ビルドアップ能力も高い塩谷に出場のチャンスが舞い込む可能性は十分にあるはずだ。
2014年5月のA代表候補合宿に初めて呼ばれ、前任のハビエル・アギーレ体制下の10月に代表デビューを果たしたが、いまだ定着には至っていない。J2の水戸から成り上がり、2013年に広島でJ1王者にも輝いたテクニカルなDFは、このチャンスを生かしてA代表での地位を固めたいところだ。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images