【データ検証】イランのエースを“空陸”で封殺 20歳CB冨安が記録した両チーム最高の数値とは?

[DATA-3]日本代表とイラン代表のゴール前でのデュエル勝敗【図:Evolving Data】
[DATA-3]日本代表とイラン代表のゴール前でのデュエル勝敗【図:Evolving Data】

冨安がイランFWアズムン相手に見せた前後半で異なる姿

 続いて[DATA-3]より、両チームのゴール前アクションにおける成功と失敗を見ていこう。日本はペナルティーエリア付近で34回のデュエルが発生し、そのうち16回勝利(勝率47.06%)。イランは31回中14勝(勝率45.16%)と大差はなかった。ペナルティーエリア内に限定すると日本代表が25回中12勝(48.00%)、イランは20回中8勝(40.00%)とゴール前に近づくにつれ、差は徐々に開き出した。

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 ただしイラン側の攻撃におけるデュエル勝利が、勝敗に直結することはなかった。デュエルに勝利することは重要だが、その場で競り勝ったとしてもセカンドボールを拾われたり、DFを1枚剥がすことに成功しても2人目で網にかかっては意味がなくなってしまう。逆に守備側は球際の勝負で負けたとしても、相手の姿勢を崩させたり、想定外のエリアへボールを放り込ませてセカンドボールやフリーボールをピックアップできれば、チームとしては負けていないことになる。データに隠れたアクションと未然にピンチを防ぐ行動でチームを助けていたのが、冨安だった。

 イランは序盤から守備時に5バックとなり、DFによるロングボールや、ロングスローを得意とするGKアリレザ・ベイランバンドからFWアズムンへボールを集める戦術を繰り出した。その攻撃で、アズムンとの空中戦を制し続けたのが冨安である。

 冨安は前半の守備時の空中戦で6戦4勝(勝率66.67%)、しかし残り2つの勝負は先に相手の身体に触れはしても、競り合いながらポジションをずらさせており、GK権田修一のキャッチ等で守備のタスクを完遂しきっている。

 後半になるとイランはハーフタイム中に修正し、ロングボールを多用するだけでなく、中盤と連動したパスワークからの攻撃を仕掛け始めた。しかし、得点するためのアクションやフィニッシャーの役回りは継続してアズムンが務めており、最終的にアズムンへボールを預けることに変わりはなかった。これにしっかりと対応した冨安は、後半だけで8回ものインターセプトに成功。試合内では、全選手中最高値となる11回のインターセプトに成功している。

 前半で制空権を確保し、後半には地上のパスルートを遮断した冨安は、イランの得点源であるアズムンの孤立化に成功。アズムンは自身の不甲斐なさからか、苛立ちを隠すことができなかった。最前線のキーマンが機能不全となる状況に追い込まれたイランは、2点ビハインドの終盤に一矢報いるべくラインを上げるものの、後半アディショナルタイムに決定的な3失点目を喫した。

 サッカーでは得点しなければ試合に勝つことはできず、この日の日本も攻撃陣が3ゴールをしっかりと奪ったことがイラン撃破につながったのは間違いない。その一方で、冨安が相手のキーマンを確実に封じたことがイランの攻守にわたるリズムを狂わせ、日本が試合の主導権を握る大きな要因になっていた。

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(Evolving Data)



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Evolving Data

日本初のサッカー選手データメディア。現在はチームや選手のバイオリズムに加え、選手の人生を踏まえた選手名鑑を作成中。データを活かした『パラメータ』に加え、オウンドメディア内でのライブ配信も行う。
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