南野拓実を突き動かす「チームのために」の思い 大迫復活で輝き増すアイデアと連動性
アジアカップ準決勝のイラン戦で3ゴール演出
「案ずるより産むが易し」とはこのことだろう。
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1月28日、アジアカップの準決勝でイランと対戦した日本は、大迫勇也の2ゴールなどで終わってみれば3-0の完勝を収め、5度目の決勝進出を果たした。2月1日の決勝ではカタールと対戦。日本は過去の同大会決勝で敗れたことはなく、もしも日本が勝てば森保一監督は日本人指揮官として初めてアジアカップを制することになる。
試合序盤はプレスをかけ合ったため、ロングボールの応酬となった。しかし10分を過ぎる頃からイランは自陣に引いてリトリートし、カウンター狙いに切り替えた。
これまでの対戦相手は試合開始から攻勢に出たため、日本は相手の攻撃を受けるような形となったが、イランのカルロス・ケイロス監督は延長戦も視野に入れてのゲームマネジメントだったのだろう。無理して攻め急がず、しっかりとリスク管理してきたため、逆に日本にはボールを保持してじっくり攻める「いつもの見慣れた光景」が戻ってきた。
さらに、吉田麻也が「前回(2015年10月の親善試合/1-1)の対戦でも分かっている」と言えば、長友佑都も「(アズムンは)今アジアでたぶん本当に一番いい、大迫と彼はアジアでも本当に抜けているプレーヤー、FWだなと思います」と警戒するように、相手の手の内を知っていることも日本にとってアドバンテージになったようだ。
試合は序盤の蹴り合いが収束すると日本がリズムをつかむ。復活したエースの大迫は前線に張りついて相手DF陣を押し下げつつ、機を見てバイタルエリアに戻るとフリーになってボールを収めたり、サイドに流れたりして攻撃の起点となった(余談ながら、サウジアラビアもセットプレーの際に日本の選手がプルアウェーの動きをすると簡単にフリーにしてくれた)。
そんな大迫のプレーに触発されたのが南野拓実だった。彼と堂安律、そして今回は怪我で代表招集を辞退した中島翔哉らは、3人の距離が近いほど1タッチ、2タッチのアイデア豊かで意外性に富んだプレーを披露する。その3人の動きを引き出すのが大迫だった。しかし中島を欠き、アジアカップでは2戦目以降、大迫もベンチに下がったことで、南野と堂安は孤立することが多く、なかなか真価を発揮できず。辛うじて大迫が復帰した準々決勝ベトナム戦(1-0)の終盤は、南野、堂安とのコンビネーションによる攻撃を垣間見ることができた。
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六川 亨
1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。