開始7分に見えた「イラン攻略」の布石 後半3得点を呼び込んだ日本の明確な狙いとは?
原口もコンビネーションに手応え「分析どおりでしたね」
堅守に定評のあるイランは、タイトな縦横に大きな揺さぶりを入れると1ボランチの両脇にスペースが生まれやすく、そこにボールが入るとアンカーのオミド・イブラヒミがボールに食いついてディフェンスラインの手前がブランクになる傾向がある。このシーンでは脇のスペースに下りてきた大迫と堂安に対してイブラヒミが中途半端なチェックに来たことで、南野とのラインがつながった。
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その一方で、ボールには関わっていないもののイランのディフェンスラインを横に開かせる効果を作ったのが、左サイドの原口のポジショニングだ。「分析どおりでしたね。アンカーの脇がすごく空いていたので、そこを誰が使うのかということだけハッキリしたら、スムーズに回っていた」と語る原口は、この局面ではその役割を大迫に任せて左ワイドにポジションを維持した。
そこで彼が堂安のもう一つのパスの選択肢として逆サイドでボールを呼んだことにより、イランの右サイドバックを務めるラミン・レザイーアンがワイドに引きつけられた。さらにこの流れに応じて右サイドの後方から酒井宏樹も上がって来ており、刹那的な展開の中にも日本の高い連動意識が表れたプレーだった。
結局、先制点が生まれたのは後半11分まで待たなくてはいけなかったが、こうした効果的な攻撃を繰り返すことによりイランの守備のリズムを崩し、攻撃のリズムも崩して後半の3得点の流れを呼び込んだのは間違いないだろう。
アジアの中では特異と言える日本の連動性の高さと、きめ細かなスカウティングを掛け合わせた戦い方が、決勝の舞台でも効果を発揮することを期待したい。
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河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。