開始7分に見えた「イラン攻略」の布石 後半3得点を呼び込んだ日本の明確な狙いとは?
今大会無失点を誇っていた相手を3-0粉砕、開始早々に見せていた見事な連動性
森保一監督が率いる日本代表は、28日のアジアカップ準決勝でイラン代表に3-0で勝利し、決勝進出を果たした。先制点が生まれたのは後半11分、南野拓実がペナルティーエリア手前でホセイン・カナーニと接触して転倒。イランの選手たちが主審にシミュレーションをアピールしている隙に、南野がこぼれ球を拾い、正確なクロスから大迫勇也がタイミング良くゴール前に飛び込み、ヘディングで合わせた。
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この1点で、今大会無失点を続けてきたイランには明らかに動揺が走った。プレーの集中が切れ完全に日本の流れになったことで、ややラッキーな相手のハンドによるPK、さらに原口の鮮やかな仕掛けからの3点目につながった。
後半一気の3ゴールで勝負が決まった一戦だが、一進一退の攻防が繰り広げられた前半から日本の狙いは明確に表れており、イランというアジア最強レベルの相手に対して、持ち味を十二分に発揮した結果の勝利と言える。
日本の狙いが象徴的に表れたシーンが前半7分。4-2-3-1の日本はロングボールをセンターバックの吉田麻也が跳ね返すと、セカンドボールをボランチの柴崎岳が拾う。そして「僕と(遠藤)航のエリアでセカンドボールの拾い合いになるというのは予想してましたし、そこの意識はこれまでの試合よりもより一層あった」と振り返る柴崎が、センターバックの冨安健洋にバックパスをつないだ。
そこからリターンを受けた柴崎が吉田へ、吉田からボランチの遠藤にボールが渡る。その流れでイランのディフェンスが中央に集まると、遠藤は右サイドのスペースに大きく展開。そこで堂安律が受けると、1トップの大迫勇也が4-1-4-1の布陣を敷くイランの1ボランチの左脇に下りて、堂安からボールを引き出す。
その間に大迫とポジションを入れ替えた南野が、イランのセンターバックを務めるモルテザ・プーラリガンジとカナーニの間に入り込み、大迫とワンツーをした堂安からの縦パスを引き出した。完璧な形のコンビネーションだったが、南野が右足のファーストタッチで抜け出そうとしたところにプーラリガンジが回り込んでボールをクリアした。
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河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。