チーム最年長の遠藤は窮地で過去2大会の経験を生かせるか 「すべてのものをぶつければいい」

 前夜は指揮官の意向で合宿地を離れ、イトゥ市内へと外出。選手、スタッフが参加し、ブラジル料理のシュラスコに舌鼓を打ってリフレッシュを図った。

「体的にも、メンタル的にもリフレッシュした。ここまでの結果はしっかりと反省しないといけないけど、次のコロンビア戦に勝てば上にいける可能性があるし、勝たないと何も起こらない。これまで築き上げてきたモノを素直に出せればいい」

 そう語る遠藤にとっては、今大会で3大会連続となるW杯だ。惨敗に終わった06年のドイツ大会と、逆風をはね除けた10年の南アフリカ大会。それぞれの2つの代表チームの大会に臨む過程や、そのときの空気感をすべて経験してきた。米国での直前合宿中には、「ドイツのときと似ている」とも語っていた。

 この日、報道陣からは「結果も似たようなモノになっているが?」と質問が飛んだ。すると、遠藤は「あのときに言ったのは雰囲気が似ているとかじゃなくて、チームの入り方、国内でフィジカルをきつくやってという流れの部分。まったく違うものだと思っているし、比べようがないと思う」と否定した。一方で「まあ、自分たちが招いた結果なんで」と言い、悔しさを押し殺した。

 悔しさもすべて、次の一戦にぶつける。満身の力を尽くす覚悟だ。

「ここで、メンタル的に落ち込んでいてもいいことはない。悪いイメージを持ってしまうと、それが自然に(周りに)伝わってしまう。90分間、すべてのものをぶつければいいと思う」

 そして、その運命を懸ける一戦に向けて、相手の「裏は空く」という。だが、練達のゲームメーカーは、事前の情報がすべてではないことを知っている。

「ただ、そこを突ければいいけど、スカウティング通りにはいかないこともあるんで。しっかりと準備して対応できるようにしたい」

 目の前の状況を把握し、最適な判断を下す。34歳のMFは身につけてきた力を、積み上げた経験をすべて出し尽くす。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
詳しくは、「LEGENDS STADIUM 2014 – FIFAワールドカップ公式動画」まで

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