「新しいファンを獲得するスタイルでない」 英記者が森保Jの“非日本的”戦術を疑問視
サウジアラビアを1-0で撃破したが、ボール支配率23.7%に終わるなど終始苦戦
日本代表は21日に行われたアジアカップ16強でサウジアラビアを1-0で破り、ベトナムの待つ準々決勝に駒を進めた。ボール支配率23.7%と相手に主導権を握られるなか、前半20分にDF冨安健洋(シント=トロイデン)のA代表初ゴールで先制。これが結果的に決勝弾となり、中東の雄を撃破した。
かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、サウジアラビア戦の日本のパフォーマンスについて、「結果に関係なく、新しいファンを獲得するスタイルでないことは明らかだ」と守備的な戦術に辛口評価を下している。
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月曜日(21日)の夜、サムライブルーが準々決勝進出を決めた背景には、本質的な“日本人らしさ”がなかった。ポゼッションに基づく数値(日本23.7%、サウジアラビア76.3%)は、試合のすべてを物語るわけでは決してない。一方で、アジアのチーム相手にほとんどボールを持てない日本が、あらゆるレベルに対抗できると考え難いのも事実だ。
森保監督はカタール戦で露わとなったサウジアラビアの守備の弱点につけ込んだうえで、ゴール前をシャットアウトするよう指示した。ただ、ロシア・ワールドカップのグループリーグ最終戦ポーランド戦(0-1)と同じくらいもどかしいパフォーマンスだった。
結果が過程を正当化したとはいえ、パス、動き出し、創造性で対戦相手を支配できる個の力を持ったタレント集団でありながら、これが彼ら全員が求めるサッカーなのか。もちろん勝利するのが大前提だが、新しいファンを獲得するスタイルでないことは明らかだ。
日本はコーナーキックでサウジアラビアの弱点を突き、冨安のヘディングシュートで欲しかった先制点を手にした。そこからサウジアラビアにさらに押し込まれることになるが、守備の徹底は、試合からスペクタクルさを損失させた。
DF吉田麻也は上手く最終ラインを統率し、MF遠藤航とMF柴崎岳のボランチコンビも自らを押し殺し、手堅い対応に徹してサウジアラビアがファイナルサードでミスを犯すよう促し続けた。この戦術は美しくはないが、機能自体はしていたと言っていい。
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マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。