過去5回のアジア杯にない日本代表の姿 トルシエ以降の外国人監督と異なる“采配の妙”とは?
先発10人を入れ替えたウズベキスタン戦、チームの“総合力”を見せて2-1と逆転勝利
アジアカップのグループリーグ最終戦が17日に行われ、グループFの日本はウズベキスタンと対戦。すでにグループリーグ突破を決めている両チームとあって、日本はスタメンに国内組7人を含む10人を、ウズベキスタンは5人を入れ替えてきたが、チームの「完成度」で勝る日本が若いウズベキスタンに2-1と逆転勝利を収めた。
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グループリーグ突破のためには互いに勝利が必要だったオーストラリア対シリア戦(3-2)、グループリーグ突破を決めているもののライバル意識をむき出しに肉弾戦を演じたイラン対イラク戦(0-0)のような激しさはなかった。試合開始からスローテンポでボールをつなぐ日本の試合展開は、Jリーグとも似ていた。
試合前の会見で森保一監督は、「できればすべての選手を使いたい。明日の試合はこれまでの2試合から選手を多く代えて臨もうと思っている」と話した。しかし、まさか10人も入れ替えるとは予想外だった。
それまでの2試合で、交代枠をすべて使わずに90分間を終えたことに疑問を抱いた選手が、森保監督に理由を聞きに行ったという報道もあった。森保監督にすれば、負けている試合ではないので、理由もなく選手交代をする必要もなかったのだろう。ただ、試合に出られない選手は不満を抱いて当然だ。
そうした不満を解消し、チームの結束力を高めるためにはサブ組と言われる選手の起用も必要になる。とはいえ、スタメン10人の入れ替えはリスクも高いと思われた。ところが試合は、森保ジャパンとしてチームの成熟度は低いかもしれないが、青山敏弘と塩谷司らベテラン勢が試合をしっかりとコントロールし、伊東純也と武藤嘉紀は持ち味のスピードを存分に発揮してウズベキスタンを苦しめた。むしろ前の2試合よりも、日本は安定した試合運びを序盤から見せており、森保監督が「明日の試合は日本の総合力を見せられる試合」と言ったとおりの展開となった。
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六川 亨
1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。