日本代表「オマーン戦出場13人」を金田喜稔が5段階評価 「プライドを感じた」と絶賛したのは?
柴崎が取り戻した“雰囲気”「悪い状態は脱した印象だ」
■南野拓実(ザルツブルク)=★★★★★
確かに再三の決定機を決めきれなかったというマイナス部分はある。だが、オマーン戦の90分を通して、最も日本のサッカーにリズムを与えていたのは、間違いなく南野だった。相手の背後へ何回飛び出し、何本足もとでボールを受けたのか。シュートへの意欲を誰よりも示し、自分が最も欲しいタイミングとパスコースをチームメートに要求。そして守備面でも高い位置からプレスに行き、中盤にも戻って体を張り、ゲーム終盤にはドリブルをしながらボールをキープして時間を稼いだ。第1戦では消えていたが、短期間でここまでパフォーマンスを上げてきたところに、強いメンタリティーとプライドを感じた。決定力に課題は残したが、間違いなくこの試合のMVPだった。
■原口元気(ハノーファー)=★★★★
微妙な判定でPKをもらい、その1点が決勝点になった。一方、1試合を通じては、チームに影響力を与えられるプレーができなかった。試合直後にはチーム全体への不甲斐なさを口にしていたが、きっとそれはワールドカップ(W杯)経験者でありながら攻撃のリズムを作り出せなかった自分自身に向けられたものだろう。確実に1ゴールを奪ったことを加味して4つ星評価としたが、第1戦に比べると物足りないパフォーマンスだった。
■遠藤 航(シント=トロイデン)=★★★★
限りなく5つ星評価に近いパフォーマンス。コンディション不良から第1戦を欠場したが、持ち味である危機察知力や球際の強さはオマーンを相手に1試合を通して発揮してくれた。的確にスペースをカバーし、南野に出したシーンのような奪った後の好パスも披露。柴崎とのコンビネーションもスムーズで、期待どおりのことを淡々とこなした。ボランチの軸となる選手の復調ぶりに、森保監督もひと安心したはずだ。
■柴崎 岳(ヘタフェ)=★★★★
W杯時の良い状態には達していないが、森保体制になって以降の悪い状態は脱した印象だ。チームとしてなかなか得点を決めきれないなか、中盤で遠藤とともにリズムを作っていた。第1戦の冨安とのコンビで露呈していたバランスの悪さは改善され、お互いのサポートも的確だった。チームとしては後半に入り、次第に攻撃のリズムを失ったが、柴崎自身は時間の経過とともに本来の“雰囲気”を見せていった。淡々とボールを引き出しながら、捌いていく。前を向いた時に躊躇することなく前線の選手を動かすようなパス出しは、ここ数試合はミスをしたくないという意識が強く鳴りを潜めていたが、オマーン戦の後半では「このタイミングで動けよ」というメッセージを込めたパス出しが増えており、復調ぶりを感じさせた。
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金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。